ふるさと納税ってなに?

 ふるさと納税とは、日本全国の自治体に寄付をする制度の一つです。「納税」という名前がついていますが、どこかから税金を徴収されるものではありません。寄付をして、所得税と住民税の「寄付金控除」というしくみによって、税の一部が戻ってくる制度です。

 では、なぜ「ふるさと」という名前がついているのでしょうか? これは、寄付先を自分の出身地など、全国の自治体から自由に選べるためです。所得税は国に、住民税は住んでいる自治体に納めますが、ふるさと納税は、寄付を受け付けている自治体であればどこにでも寄付できます。生まれ育った地元や学生時代に過ごした地域など、それぞれの人にとって「ふるさと」と感じる自治体はもちろん、特にゆかりのない地域宛てに寄付することもできます。日頃は接する機会の少ない遠方の町など、日本全国の自治体のことを知り、その地域を応援するきっかけになることを目的としています。

出典元:総務省 ふるさと納税のしくみ


ふるさと納税で税金が軽減される

 ふるさと納税の最大の特徴は、寄付金額に応じて所得税と住民税が軽減されることです。寄附額のうち2000円を越える部分について、一定の上限額までは所得税と住民税で全額が戻ってくるのです。例えば1年間に1万円をふるさと納税した場合は、自己負担額2000円を差し引いた8000円分が戻ってきます。厳密には「控除」といって、税額の計算上でふるさと納税分を差し引いて計算できるようになっています。その結果、ふるさと納税をした分、税が軽減されるわけです。戻ってくるタイミングは所得税と住民税で異なり、所得税分はその年分、住民税は翌年度分の税の計算で差し引かれます。

 通常、所定の自治体や団体などに寄付をした場合に適用できる「寄付金控除」でも、所得税と住民税の軽減を受けることはできます。しかしふるさと納税で適用できる「寄付金控除」には「特例分」があり、通常の寄付金控除よりも多くの部分を控除できるのです。

 ただし、控除できる金額には上限があります。ふるさと納税自体は上限を超えて寄付することもできますが、超えた部分については税の軽減は受けられません。給与収入額や家族構成などによって異なりますが、例えば独身で給与年収が約300万円なら、年間約28000円の寄付までは、その全額(うち自己負担額2000円を除く)を所得税・住民税から控除できます※1

 なお、家族構成や年収に応じて、ふるさと納税で全額を寄付金控除できる上限額の目安が、下記総務省のウェブサイトにも掲載されています(控除の上限額は目安です。詳細な条件により異なることがあります)※2

※1.2 出典元:総務省 ふるさと納税ポータルサイト


寄付のお礼に特産品がもらえる

 ふるさと納税のもう一つの魅力が「お礼の品(返礼品)」です。ふるさと納税を受け付けている自治体の一部は、寄付をした人にお礼の品を贈っています。おもにその自治体の特産品で、肉、魚、野菜、フルーツなどの食べ物から、工芸品、お酒、化粧品、さらには旅行券やチケットまで、地域の特性に応じて幅広いジャンルのものがあります。例えば、海に近い地域なら魚、えび、かになどの魚介類、緑豊かな地域なら野菜、果物やお肉類、水のきれいな地域ではお酒類などが人気です。

 個々の自治体が揃えているラインナップの数、種類は異なりますが、多くはその中から寄付をした人が自由に返礼品を選べるようになっています。

 返礼品の中には、その地域でしか手に入らないもの、他の地域で購入すると割高なものもあります。産地直送の特産物が自己負担2000円(寄付金控除で控除できない部分)で受け取れるともいえるので、返礼品を通して、地域の産業や特徴を気軽に知るきっかけにもなりそうです。