最もポピュラーな「財形貯蓄」

 お勤めの方が最もトライしやすい先取り貯蓄の商品が、財形貯蓄です。「財形」と省略して呼ばれることもあります。あらかじめ設定した金額を、毎月の給与と賞与からの天引きで積み立てます。毎月の積立額は月々1000円以上、1円単位で設定できます。ボーナス時には、月々の積立額とは別に積立額を設定できます。とてもポピュラーな方法ですので、既に始めている人もいるでしょう。

 財形貯蓄の最大の特徴は、会社を通して簡単な手続きで始められること。忙しくて銀行の窓口に行く時間がない人でも始めやすいはずです。反面、引き出すときにも会社で所定の手続きが必要です。キャッシュカードがあればいつでもATMから引き出せる預金に比べて、簡単に引き出せないしくみなので、一度貯めたお金をついつい使ってしまうのも防げます。

 また、財形貯蓄には使い道に応じて3種類あります。使い道が自由な「一般財形」の他、住宅資金を積み立てる「財形住宅」、老後資金を積み立てる「財形年金」があります。財形住宅は住宅のため、財形年金は老後に年金として引き出すことを条件に、合わせて550万円までは利子に税金がかからないのもポイントです※2

※2 一般財形は、一般的な預金と同じく利子に20.315%の税金がかかります。財形住宅、財形年金を目的外の使い道のために引き出すと、20.315%の税金がかかります。お勤め先が提携する金融機関が生命保険会社の場合、財形年金の税金がかからない範囲は払込保険料の累計額が385万円(財形住宅貯蓄積立保険と通算で550万円)までです。

会社独自の預金制度「社内預金」

 お勤め先に預け入れる預金です。財形と同じく、給与・賞与から天引きで積み立てます。財形と異なるのは、あくまでも会社独自の制度であること。社内預金の制度がない会社もあります。また、お金の預入先はお勤め先の会社で、月々に積み立てられる金額などの条件もお勤め先によって異なります。

 もう一つ、財形との大きな違いが金利です。財形は会社の制度ではありながら、制度の運用は銀行などの金融機関が行うため、利率は金融機関が決めるのに対して、社内預金の利率はお勤め先の会社が定めます。

 また、この利率は厚生労働省令によって下限が0.5%に定められています。2017年7月現在、財形の利率は一般的な預金とほぼ同水準の年0.015%~0.02%程度ですが、社内預金の利率はそれよりも高いわけです。もし、お勤め先に社内預金の制度があれば、一度利率を確認してみるとよいですね。