生まれたらまとめてもらえる出産育児一時金

 病院や助産院などで出産するときにはお金がかかります。施設の種類や地域によって異なりますが、おおよそ30万円台から60万円台です。ところが、これは帝王切開など医療的な措置が必要な場合を除き、原則として全額自己負担です。妊娠・出産は病気ではないためです。そこで出産時の負担を軽減するために、健康保険から支給されるのが「出産育児一時金」です。

 受け取れるのは子ども1人につき42万円(双子なら84万円)で、赤ちゃんが生まれたら支給されます。産院での平均的な分娩費用は40万円前後のため、出産育児一時金をちょうど自己負担分に充てられるようになっています。

 通常、出産育児一時金は赤ちゃんが生まれた後に健康保険に請求し、その後に受け取る仕組みになっています。しかし、それでは産後の退院時には高額な分娩費用を自分でまず支払わなくてはなりません。そこで、医療機関等の窓口で請求される時点で、出産育児一時金の42万円分を差し引いてもらえる仕組みもあります。「直接支払制度」といって、出産育児一時金が健康保険から医療機関に直接支払われるものです。この制度を利用すると、自分でまとまった費用を立て替えなくて済みます

※一部の施設では直接支払制度を利用できないことがあります。


産休後に仕事を休んだらもらえる育休手当

 出産後8週間以降も仕事を休みたい場合は、要件を満たすと「育児休業(育休)」を取ることができます。取れるのは原則として子どもが1歳になるまでですが、保育園に入れないなどで復帰のめどが立たない場合には、申請することで1歳6カ月まで延長できます。1歳6カ月の時点でも保育園等に入れない場合は、さらに2歳まで延長することもできます。

 育児休業中には育児休業給付金、いわゆる育休手当を受け取れます。これは雇用保険から支給されるもので、育休を延長した期間中も受け取れます。支給されるのは、育休開始から6カ月までは休業直前のお給料のおよそ67%、6カ月以降からはおよそ50%です。休業前6カ月分のお給料を180で割った日割の金額がベースになります。例えば、休業前6カ月のお給料が毎月20万円で育休を1年間取得したなら、育休手当の総額は約140万円になります。

 なお育休中も、健康保険や厚生年金の保険料は免除されます。