企業の人材/組織戦略のための専門イベント「ヒューマンキャピタル」が6月8日から10日まで東京国際フォーラム(東京・有楽町)において、日経BP社主催で開催されました。6月10日の日経WOMAN特別セミナーでは、ジェイティービー グループ本社専務取締役 人事・総務担当の末永安生さんが多様性を企業の強みにするなかで女性役員数の増加を実現した取り組みについて、基調講演を行いました。

10年前の女性役員は、全役員約400名中わずか4名

 ジェイティービーは、旅行業のビジネスモデルが移り変わるのに柔軟に対応するために、2006年に地域・機能別に分社化し、それまでの子会社も併せて並列に並べるグループ体制を導入しました。これにより、各社がそれぞれの地域・事業・機能に応じてマーケットに向き合うようになりました。人事面でも、各社の特性に応じた対応が求められるようになっています。

ジェイティービー グループ本社 専務取締役の末永安生さん

 現在172社のグループ会社、全世界で約2万7000名の社員がグローバルに活躍するなかで、人材の多様化は必要。同社では、分社と同時にダイバーシティの推進を図ってきましたが、その大きなきっかけとなったのは役員会議でした。

 「分社後の最初に行われた全世界の役員クラスを集めた会議でした。当時の社長がその場に集まった女性の少なさに危機感を覚え、ダイバーシティのプロジェクトを立ち上げました」(末永さん)

 約400名の役員のなか、女性はわずか4名。その状況から、2016年度の日経WOMAN「女性が活躍する企業ランキング」総合5位、女性管理職・役員登用率1位になるまで、約10年の歩みを振り返ります。

2007年から5年間は啓蒙期間

 2007年から2012年は、ダイバーシティの啓蒙や意義の浸透のための活動を行い、ダイバーシティの基盤作りに注力しました。2008年には、グループ全体のダイバーシティ推進に関する最高意思決定機関として「ダイバーシティ推進委員会」を2008年に設立。この委員会には、主要各社の社長が参加。末永さんはこの5年を「これが極めて大切な時間だった」と振り返ります。

 初期に始めた取り組みには、現在も発行し続けている「ダイバーシティマガジン」があります。当初は活躍する女性の紹介が中心でしたが、現在の話題の中心はグループ各社が取り組んでいるダイバーシティ推進の事例や成果を紹介。マガジンを読むことをきっかけに、良い事例を真似てもらおうというものになっています。

 また、今年で6回目となる「ダイバーシティアワード」は、草の根的な活動の事例を各社で発信し、より良いものを称賛することで各社の取り組みに刺激を与えることを目的に実施されています。表彰はALL JTB MEETINGという全世界のグループ各社の業績表彰と同じ舞台で行われ、受賞者にとっても誇らしいものとなっているようです。