経営戦略としてのダイバーシティ推進へ

 続いて、今回の「女性が活躍する企業BEST100」の中で、電機・機械・自動車関連業種でランキング1位となり、メーカー代表として登壇した日立製作所の迫田さん。「ダイバーシティは社会イノベーション事業を進めていく日立の成長エンジン」と表現し、グローバル企業として活動していくには欠かせない要素だと強調しました。

 同社は1990年代以降、女性をはじめとする多様な人材の活躍支援に取り組んでいます。トップマネジメント層の人事構成は、取締役12人中、8名が社外取締役であり、全体のうち外国人4名、女性2名と、多様化が進んでいることを紹介(2016年6月10日時点)。現在は、「経営戦略としてダイバーシティを推進するフェーズ3の段階に入っている」と迫田さんは言います。日立グループ内での女性活用度調査では、社内ビジネスユニットや主要グループ会社を対象に、四つの指標で各社の状況を数値化し、活用度を「見える化」しました。業界として男性数が多いという事実もありますが、部長相当職の女性を対象とした「日立グループ女性リーダーミーティング」などを通じて、より多くの女性が活躍できる環境づくりを進めているとのこと。

 「日立製作所は、2020年の女性管理職を2012年度の2.5倍の1000人にする目標を掲げている」と迫田さんは語りました。

ダイバーシティを会社の活力にする

 最後に金融業界を代表して、みずほフィナンシャルグループの犬塚さん。2002年に旧3行が合併して、みずほグループが誕生したなかからスタートしたダイバーシティ推進について説明しました。

 犬塚さんは、ダイバーシティの段階について、三つのステージに分かれると振り返りました。「2003年にワーキンググループを立ち上げるところから始めました。そこから、女性の活躍のための基本方針『4つのR』に基づいて取り組みを続けてきました」と犬塚さん。これが第1ステージです。

 「4つのR」とは、Recruit・Raise・Retain・Relate。Recruitは積極的に女性の採用を推進すること、Retainは採用した女性が辞めないよう、活力を存分に発揮できる環境整備を進めていくこと、Raiseは女性人材を育てていくこと、そしてRelateは積極的に社内外に対話を求めて意識改革を進めていくことを指しています。

 第1ステージでは、特にRecruitとRetainに注力していたそうです。第2ステージでは、ワーキンググループをダイバーシティ推進室として組織化して取り組みを強化。第3ステージで、女性の執行役員が誕生しました。

 多様な人材のRecruitとRetainは国内外含めて進んでいますが、「多様性を会社の活力として生かしているのだろうか?という問題意識が生じた」と犬塚さんは言います。そこで2016年度には「ダイバーシティ推進」から「ダイバーシティ&インクルージョン推進」として、グループ全体・グローバル一体型で、多様性を一体化した活力として生かしていくことを目標に掲げています。