管理職の意識改革も重要

 また、管理職の意識改革については、トップコミットメントと同様に重要だと藤本さんは説明します。

 「そもそも管理職の人たちは、今までの自分のマネジメントや仕事の仕方がよかったから管理職に選ばれているという自負がありますし、『24時間働きます』『どこでも転勤します』という世代の管理職に育てられた人が多いので、一筋縄ではいかないことを実感しています」(藤本さん)

 そのため、管理職の意識改革を目的とした「ダイバーシティ・マネジメントセミナー」を開催。外部の講師を招いて、「マネジメント」「リーダーシップ」「働き方改革」の3つを軸としたテーマを取り上げています。妊娠中や育児中、介護中の社員のマネジメントを多岐にわたり明記した「ダイバーシティ・マネジメントブック」も作成し、部下とのコミュニケーション促進のツールとして活用されているそうです。

 加えて、ダイバーシティ推進の取り組み開始から5年が経過した節目の今年は、各事業会社の社長と幹部を集めたセミナー「7&i ダイバーシティDAY2017」を開催。「Change, or Die! -変革せずして企業の存続あらず-」をテーマに、カルビーの代表取締役会長兼CEO・松本晃さんを招いて講演を行いました。

「スポット保育」で祝日勤務を可能に

 最後に藤本さんは、「働き方改革」への取り組みとして、専門会社に委託し、社内の会議室などで社員の子どもの保育を行う「スポット保育」を祝日・年末年始に実施した例を紹介しました。「子育て社員が祝日・年末年始も存分に活躍できる環境を支援する」ことを目的としており、0歳~小学生の子どもがいる男女社員を対象にしています。セブン‐イレブン・ジャパンでスタートし、今年の5月からはグループ内に拡大しているとのこと。

 利用者からは、「祝日の保育園はキャンセル待ちで預けられないときもあったが、安心して働ける」という声が上がるなど、労働力の確保や、働き方の選択肢の拡大、定時のお迎えが必要なことによる生産性の向上などが成果として得られたそうです。

 同グループでは、「仕事」と「生活」の関係を「ワークライフシナジー」と呼んでいるそう。「仕事で得た知識や成長した自分を生活で生かす。同時に、生活で得た情報や知識をまた仕事に具現化していくという相乗効果をもたらすものとしてとらえている。今後もダイバーシティの推進を地道に取り組んでいきたいと思います」と、藤本さんは締めくくりました。

文/飯田樹 写真/佐々木辰生