「腹をくくって復職するため」の産休前人事

 11年の東証一部への市場変更後、会社の広報体制を整える必要性から、私と新卒社員一人という体制で広報部が立ち上がりました。広報の仕事もそれまで経験がありませんでしたから、やはり毎日が勉強。研修に行ったり、メディアや外部のPR会社の方々に教えていただいたりしながら、手探りで経験を積み上げていきました。広報は「会社の顔」なので、どんなことにでも答えられるよう会社について深い知識がなくてはいけない。恥ずかしくない対応ができるよう常に緊張していたのを覚えています。

「復職後も広報を続けたいとアイデアを巡らせていました」
「復職後も広報を続けたいとアイデアを巡らせていました」

 ボルテージでは、常に新しいことに挑戦させてもらえ、仕事をつまらないと思ったことはありません。今回の役員昇格の話をいただく前から、復職後も長く働きたい、もっと広報としてやりたいことがたくさんあると、色々なアイデアを巡らせていたので、お話があった時には素直に新しい職務に挑戦したいと思いました。

 ただ、9月には40歳になる中での出産なので、体力的な懸念もありすぐに会社に戻りますとは言えません。そこで、改めて東副会長に様々な懸念があることを伝えたところ、それは分かった上での人事だと言ってもらえました。実は、当社にはもう一人現在、産休中の女性執行役員がいるのですが、彼女と副会長の間で、産休前に執行役員昇格の話をした方が腹をくくって復職できるのではないか。復帰後に言われると、心の準備がない分、かえって不安が大きくなるのではないかという話があったそうなんです。

 ボルテージは女性向け商品を扱う会社であり、469人の従業員(2016年6月末現在)の半数は女性です。夫(津谷祐司会長)と共に当社を創業した東副会長も3人の子どもを育てるワーキングマザーであり、会社には、女性を積極的に登用してきたい、結婚しても長く働いてほしいという考えがあります。