苦しい経験が、自分が成長できるきっかけになることもある

――自動車というと男性のイメージがありますが、この業界を選んだのはどうしてですか?

 自動車が好きなのです。テクノロジーも好きだし、将来を見据えて事業を行っていることも好き。製造や店舗の方とお話して、実際に手を使って何かをやることも実は大好き。車好きのカーガイならぬ、カーガールなの。

 どうしてもっと女性の多い、働きやすい業界を選ばなかったのかと言えば、あまり居心地のよくない環境に身を置いてこそ、一番成長できると思っているからです。自分が満足しているような環境から一歩出て、自分を開発するというか、自分が成長できると思うのです。

 チャレンジ好きですし、解決方法を見出すことにも喜びを感じます。もちろん、すごくフラストレーションがたまって密かに泣いたこともあります。でも泣いたあと、それでも自分で気持ちを立て直して、レッツゴーと。今日もやっていこうと気持ちを持ち上げたのです。

――泣くような経験や困難な思いをしたのは、いつですか。

 夫がブラジルに赴任になったときに私もブラジルに付いていきました。でも当時は共働きカップルのサポートがなかったので、ドイツでの雇用契約で行ったというよりも、ローカルでの契約。ですから降格になったのです。

 私はポルトガル語が話せず、ブラジルの方は英語が話せませんでした。ローカルチームは危機的な状況で、これを立て直せという任務を与えられていたのです。しかもブラジルでも唯一の女性社員。

――まさに三重苦ですね。

 短期間で言語を学べということだったのですが、ブラジルの方がいろいろお手伝いしてくれたので、私のチームメンバー=辞書という感じでした。ローカルカルチャーに溶け込むには、現地の言葉を学ぶということは必須だと思います。

 それに、ブラジルの経験がのちのち自分のキャリアですごく役立ちました。結果的にビジネスユニットの人事部を立て直すことに成功したのですが、あの経験があったから、今は、より強くなれたと思っている。何かあっても「私にはあの経験がある、だから乗り越えることができる」と自分に言い聞かせることができます。

――夫に単身赴任してもらうという選択はなかったのですか?

 私にとって一番大事なものはと聞かれたら家族、特に夫と答えます。一緒に行くことでその時点ではキャリアを犠牲にしましたが、今振り返ってみると、ブラジルでの経験があってこそ、今のポジションが手にできたものだと思っています。

夫との時間を大切にしている