飛行機が苦手なお客様のためにできることは…

 私にはずっとお守りがわりに持っているものがあります。入社2年目のころに、お客様からいただいたお礼の手紙です。そこには、ボーディングブリッジに保安要員として立っていたときの私の行動に対して、感謝の言葉が書かれていました。

 その日は混雑していて通路でお客様が並んで搭乗を待つような状況だったので、携帯電話の電源を切ってくださいといった声がけを自発的に行っていました。その様子を、『とても分かりやすくて感じがよく、一生懸命に仕事に取り組む姿勢にこちらまで元気になりました。確か山下さんという方だったと思います』と覚えていてくださった。読んで泣きそうになりました。

今でもお礼の手紙のコピーをロッカーにしまっているそう
今でもお礼の手紙のコピーをロッカーにしまっているそう

 飛行機での旅が好きな方もいれば、不慣れな方、苦手な方もいます。たとえば「アルファベットの〇~〇は奥の通路ですよ」といったことを待っている間にお伝えすれば、お客様の流れはスムーズになります。空の旅がお好きな方には、より快適な時間を提供し、苦手な方の不安要素は少しでも軽減できるよう、自分の行動によって、お客様に少しでもいいことが起こったらいいなという気持ちで日々行動しています。今も頑張れているのはこのお手紙のおかげです。

 今後は、2020年のオリンピックに向けて国際機の便数がさらに増えてきます。会社としては人材育成を進め、品質もより向上させなくてはいけません。自分自身のスキルアップとともに、今任されているインストラクターという役割を通して、レベルの高い人材を少しでも多く育てていく。それが、今の私の目標です。

文/谷口絵美 写真/品田裕美

山下寛子(やました・ひろこ)

ANAエアポートサービス ランプサービス部。1983年生まれ。契約社員として2004年6月に新卒入社。2010年4月1日に正社員となる。貨物の積み下ろしや、到着機の誘導などを担当するグランドハンドリングとして活躍。天候に関わらず出発便をスピーディーかつ安全に送り出す、チームワークと素早い判断が求められるお仕事。危険な職場での業務だが、常に危険予知を行い、先読みしながら的確に業務を行っている。

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