「チャレンジしたいならいいじゃないか、制度は考えるから」

 私は神奈川県川崎市の出身で地方に縁のない生活をしてきたのですが、前職の外資系コンサルティング会社在籍時と日立コンサルティングの入社直後に、東北の復興支援に参加する機会がありました。

 それまではオフィスでパソコンに向かって、クライアントの課題解決の方法を分析するということが多かったのですが、復興の仕事を通して、やはり社会の貢献に直接的に携わることが自分のモチベーションになると実感。お客様とすごくいい関係を築くことができた一方で自分なりの課題も見つかり、もっと現場に入って働きたいという思いが強くなっていました。

出張が多く、雪国へ行くこともあるという河野さんのお供。防水仕様で歩きやすく、適度にヒールもあってビジネスシーンでも使いやすいところがお気に入り
出張が多く、雪国へ行くこともあるという河野さんのお供。防水仕様で歩きやすく、適度にヒールもあってビジネスシーンでも使いやすいところがお気に入り

 社会貢献といっても、ただNPOやボランティアでやるのではなく、ビジネスとして社会の役に立つ方法を知りたい。ふるさとプロデューサーの活動を通してそれが学べるのではないかと感じたことも、応募の動機の一つでした。

 会社は辞めるつもりで上司に研修生の話を伝えました。すると、私が悩んでいることにうすうす気付いていた上司は、「それは勉強になるしぜひ行ってきたほうがいい。でも、せっかく会社でもきちんと成長しているし、学んできたことも生かせるはずだから、休職して行ける方法はないか模索してみたら?」と言ってくれたんです。休職なんて考えてもみなかったのですが、そうか、と。当時の上司には本当に感謝しかないです。

 その時点ですでに研修生の選考には合格していたので、時間がないと思った私がとった行動は社長への直談判。社長もフレキシブルな働き方への改革を以前から考えていたそうで、「チャレンジしたいならいいじゃないか、制度は考えるから」と応援してくれました。

 こうして無事に会社を休職して行けることに。後に「自己啓発休暇」という制度もできて、私が第1号の取得者になりました。

文/谷口絵美 写真/品田裕美

河野麻衣子(こうの・まいこ)

日立コンサルティング 公共コンサルティング本部 シニアコンサルタント。外資系コンサルティング会社、アフリカでのボランティア活動を経て、2012年に日立コンサルティング入社。2015年10月から翌年2月まで、会社を休職し石川県七尾市へ。「ふるさとプロデューサー育成支援事業」の研修生として参加した。2016年2月に復職。