入社当時は自分の役割が分からず、他人と比べて落ち込む日々

 こんな風にお話しすると、すべてが順風満帆のように聞こえるかもしれませんが、壁にぶつかってもやもやしていた時期もありました。

 私はプロデューサー職として入社したのですが、初めのうちは自分の役割が良く分からず、何をすればいいのか手探り状態でした。「Ameba」のサービス改善などを担当していたのですが、なかなか成果が見えづらく、「私って必要なのかな」と思ったことも。営業の同期が、数字というわかりやすい形で成果をあげていたり、エンジニアの人たちが技術で貢献したりしているのを見ると、正直うらやましかった。“私には何もない”と落ち込み、気持ちが焦ることもありました。

「ヒット作を生み出したい」企画提案や社内コンテストに挑戦し続ける

 支えになったのが、入社当時から抱えていた“1からサービスを立ち上げて、ヒット作を生み出したい”という気持ち。でも、おそらく今のままでは、「横山に任せてみよう」というチャンスはめぐってこない。悩んでいた時に、「社内のいろんな機会を活用して自分をアピールしたらどう?」と、先輩にアドバイスをもらったんですね。

 そこからは、企画書を人より多く提出したり、社内コンテストやプレゼンに力を入れて、存在感を示すことができるように頑張りました。このときも、長期目線というよりは、ただ目の前のことに必死に取り組んできた感じです。アイデアを出すのは簡単なことではありませんが、“1からサービスをつくりたい”“ヒット作を生み出したい”という核になる思いがあったから、動き続けることができました。

横山さんがプロデューサーとして立ち上げたスマートフォン向けゲーム「ガールフレンド(仮)」。スマホは大事な仕事道具。使用しているのはiphone6Sのローズゴールド。 「運営するゲームはもちろん、スケジュール管理や連絡ツールとして、スマホが無くては仕事になりません」
横山さんがプロデューサーとして立ち上げたスマートフォン向けゲーム「ガールフレンド(仮)」。スマホは大事な仕事道具。使用しているのはiphone6Sのローズゴールド。 「運営するゲームはもちろん、スケジュール管理や連絡ツールとして、スマホが無くては仕事になりません」

管理しない管理職という新しい働き方

 そんな私が執行役員になり、今では250人の部署を担当し、中でも自分のプロジェクトとして70人のメンバーを率いる立場となりました。プロジェクトの管理は得意ですが、部下の管理や評価は苦手です。そこで、会社が「管理しない管理職」という働き方を認めてくれました。プロジェクトの管理やチームビルドに専念させてもらい、評価などの人事・組織管理はそれを専門とするリーダー職を置いてもらったのです。

 チームには当然年上の人もいますし、私よりも経験豊富な人もたくさんいるので、部下という意識もあまりありません。そもそもゲームプロデューサーに就任したときから、私はチームで一番の素人だったので。人によって態度を変えるのはよくないと思っているので、年上の方でも、違うと思ったら気にせず発言しています。

文/西尾英子 写真/洞澤佐智子 構成/大吉紗央里

横山 祐果(よこやま・ゆか)

サイバーエージェント 執行役員。2008年入社。Amebaプロデュースグループに配属され、プラットフォームの機能改善を担当。2010年にAmebaモバイルゲーム部門へ異動。企画・運営した携帯ゲーム「私のホストちゃん」が人気を博す。2012年4月Amebaスマートフォンゲーム部門へ異動し、「ガールフレンド(仮)」を立ち上げる。同ゲームは現在700万人の会員数を誇る。2014年10月にサイバーエージェント初の女性執行役員に抜擢された。
横山祐果さん著書
『フツーの女子社員が29歳で執行役員になるまで (仮) 』(日経BP社)

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 【修正履歴】タイトルの一部を修正しました。(2016年4月1日)

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