興味と想像力で仕事の全体像をつかむ

 私は、仕事では「興味を持ったことはどんどんやってみる」「想像力を働かせて考える」の2点を大切にしています。

 「あらせ」のプロジェクトに参加したときは衛星のことは全く分かりませんでしたが、自分が興味を持ったことには、分からないなりにどんどん首を突っ込んでいきました。いきなり何かできるわけではないですし、そこで得られる知識も最初は断片的ですが、それが集まってくると、だんだん全体像が浮かび上がってきます。また、得られた断片的な知識から想像力を膨らませることで、さまざまな異常事態の対応を考えたり、先々の手順準備の号令をかけたり、ということが可能になりました。

新しいことを知るのは楽しい

 衛星開発は、設計というまだ紙の上にしかない状態から始まります。そこから具体的なものづくりへと移り、四角い箱だったものが衛星の形になり、何度も試験を繰り返して、打ち上げにまでたどり着く。何年もかけて取り組むのでゴールまでの道のりは長いですが、初心者の私にはすべての段階が新しい知識や経験との出合いで新鮮でした。

 知らなかったことを知るのは純粋に楽しいです。そもそも科学衛星は、まだ分かっていないことを解き明かしていくためのもの。そこに興味がありますし、衛星開発を通じていろいろな知識を得られることが、仕事のモチベーションになっていますね。

文/谷口絵美 写真/夛留見 彩

小川恵美子(おがわ・えみこ)

宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 ジオスペース探査衛星(ERG)プロジェクトチーム 開発員。1984年生まれ。大学院では地球惑星科学を専攻し、月周回衛星「かぐや」のデータ解析などを行った。2009年4月JAXA入社。超高速インターネット衛星「きずな」運用などを経て、現在はJAXA宇宙科学研究所ジオスペース探査衛星プロジェクトに所属する。プロジェクトの衛星「あらせ」は2016年12月20日に打ち上げられた。

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