「やってみて自分には合わないと分かることもある」
それで、以前から興味があったデザイン系の学校に行きたいと考えたのですが、その話をしたら父は激怒して……。
父には「お前はただ学生の身分に甘えたいだけだ。また同じことになるから、それよりも社会に出て勉強させてもらえ」と言われました。私の飽きっぽい性格を見抜かれていましたね。
そこから慌てて就職活動です。「トリマーの学校に行ったのに途中でやめるような人は、どうせ他のことも続けられないでしょう?」みたいなことを面接で遠回しに言われることもありました。そんな中、「やってみて合わないと思うこともあるよね」と理解を示してくれたのが、リクルートメディアコミュニケーションズ(現・リクルートコミュニケーションズ)でした。
当時の私は茶髪にミニスカート、細眉のギャルです。そんな子に賭けてみようと採用するなんて、すごいですよね。うれしくて、社会人のスタートは恩返しの気持ちが働くモチベーションになりました。
順調だったはずが、入社5年目で一転
入社して私がやることになったのは、結婚情報誌「ゼクシィ」の広告制作でした。ディレクターとして、デザイナーやコピーライターに指示を出して紙面を作る仕事です。
リクルートには表彰文化があって、チームやグループを競わせて、結果を出すと全社員の前でどんどん表彰します。完璧主義の私には、高い評価を取り続ける環境が性に合っていました。広告紙面の企画案を作って営業担当と一緒にクライアントにプレゼンし、それが採用されれば売り上げに貢献できます。入社2年目にはグループ全体の新人賞を取ることもできました。評価される喜び、みんなに見られる快感にまんまとはまった感じです。
ところが3、4年目になるとリーマンショックの影響もあって、会社が事業の方向性を大きく転換する時期が訪れました。それが私には全く受け入れられなかったんです。今振り返ると私の考えが幼かったのですが、当時は理想論を振りかざしては上司にかみついていました。
気付けば、卑屈な窓際社員のようになっていました。