けん制し合う世界から脱却したい

 会社員時代にある女性の先輩が、「結婚したとたんに苗字を変える女ってダサいよね」と言ったことがありました。そんなの偏見ですよね。でも私の中にはそのたった一言が変に残っていて、結婚後もしばらくは旧姓で仕事をしていた時期があったんです。

 これはあくまでも一つの例ですが、人って何によって影響を受けているのか、もはや自分自身でも分からなくなっていたりする。それをまず認識して、外していく。その次に他者との関係を構築していくっていう順番なんじゃないかな、と伝えたいんです。

創刊したばかりの雑誌に込めた思いは、まだ端的な言葉では語れない。けれど、ぼかさず、はぐらかさず、言葉を尽くして語ろうとする三根さん
創刊したばかりの雑誌に込めた思いは、まだ端的な言葉では語れない。けれど、ぼかさず、はぐらかさず、言葉を尽くして語ろうとする三根さん

 女性として生きることも、しんどいときがありますよね。結婚しているか、独身か、子どもがいるか……。いろんな選択がある中で、お互いをどこかでけん制し合っていたりする。そういう世界から脱却したいという思いもずっとあります。

 都会のタワーマンションに住んでも、地方で野菜を作って暮らしても、いろいろあっていいじゃないですか。でもそのためには、「なぜ自分はこの生き方をいいと思ったのか」をきちんと知らなければ、全く違う選択に至った人たちのことを同じリアリティーを持って理解することなんてできないと思うんです。

 創刊号は「福島」がテーマです。巻頭にいわき市を拠点に活動する小松理虔(りけん)さんのエッセイがあって、バズフィードジャパンの石戸諭さんと私の対談記事や神保賢志さんの漫画、お坊さんや哲学者も登場します。皆さん、私がその考えに接して雷に打たれるくらいの衝撃を受けた方々。ぜひ登場してほしいと一人ひとりにお願いしました。