結婚式や誕生日といった特別な日を祝う、その人らしいモチーフや言葉をあしらったアート作品のようなケーキ……。鈴木ありささんは、そんな「スペシャルティ・ケーキ」を手掛けるケーキデザイナーです。いわゆるパティシエとは全く違うアプローチのケーキ作りとは、一体どんなものなのでしょうか。

唯一無二のケーキは詳細なスケッチから生まれる

 「スペシャルティ・ケーキ」とは、簡単に言うと完全オーダーメードのケーキのことです。

 日本では記念日の特別なケーキというと、お店で決まったものの中から選ぶとか、好きな素材をオーダーしてメッセージプレートをのせてもらう、といったスタイルが一般的です。一方、スペシャルティ・ケーキは結婚式や誕生日、イベントごとなど、その日のためにデザインする唯一無二のもの。アートの要素が強く、私が製菓を学んだアメリカではパーティー文化の中で広く浸透しています。

スペシャルティ・ケーキデザイナー 鈴木ありささん。仕事場のキッチンにて

 お客様から依頼を受けると、まずは打ち合わせをします。メールや電話がほとんどですが、大きな作品やウエディングの場合は、一度は直接お会いします。どんな機会に、どんな方に差し上げるものなのか。ウエディングケーキなら、二人のエピソードや大切にしていることは何か。そういったことを伺った上でデザインを考え、かなりリアルなスケッチを描いて提案します。

 私はシュガーペーストという粘土のような素材で花やミニチュアを作り、デザインに取り入れるのが得意です。本物そっくりに作って、もちろん食べることもできます。車やパン、ギターなどその人が好きなものをバースデーケーキにあしらったり、ウエディングケーキを花嫁のブーケと同じ花で彩ったり。イニシャルなど、新郎新婦にまつわる要素をさりげなく盛り込んだりすることもあります。

鈴木さんが手掛けたケーキの一例。こちらは幼なじみの方のために作ったウエディングケーキ 写真/Alisa Suzuki Cakes
パン教室をされている奥様へ、旦那さんから結婚記念日のお祝いにと依頼されて作ったケーキ 写真/Alisa Suzuki Cakes

 「想像以上にすてきだった」「すごく感動した」。出来上がったケーキを見て、そんなふうに反響をいただけるのが毎回本当にうれしいです。サプライズのケーキだと、パーティーの場にお届けして、私がそのままプレゼンターも頼まれることが結構あるんですよ。一瞬みんな「誰?」って感じになりますが(笑)、もらった人の驚きと、計画した人たちの「うまくいった!」っていう反応を目の当たりにできて楽しいです。