特別な日のために一つひとつデザインする、まるでアート作品のような「スペシャルティ・ケーキ」を手掛ける鈴木ありささん。「相手の要望を自分らしい表現で形にし、喜んでもらうことがゴール」というケーキデザイナーの仕事で大切にしていることを聞きました。

時間も採算もシビアに それでも独立を決意

 お客様の希望、予算、技術的に作れるかどうか、私らしい表現か――。スペシャルティ・ケーキ作りには、考えなくてはいけないさまざまな要素があります。これらのバランスを取ることは難しいですが、その両立こそがケーキデザイナーのやりがいでもあります

 ニューヨークの製菓学校を卒業して2年半は、現地に残って知人の小さな会社で働いていたのですが、そのときはケーキデザイナーというより「職人」でした。ボスと相談して一緒にデザインを完成させても、表に出るのは会社名のみ。たとえ私が最初から最後まで手掛けたとしても、私の作品として発表することはできません。その分、会社がリスクも負っているわけで、当然のことではあります。

 コスト面を気にすることもなく、決められた期日の中で作ることだけに専念していられるのは楽でしたが、アーティストとしては物足りなさを感じるようになりました。それで、帰国して独立することを決断しました。

スペシャルティ・ケーキデザイナー 鈴木ありささん

 現在はアシスタントがいますが、最初はお客様との打ち合わせからデリバリーまで全部一人でやっていました。その上でデザインも考えて作品を作ってとなると、時間的にもかなりシビアです。生活していくためにどんな値段設定にすればいいのかも決めなくてはいけません。採算を考えるのは今も苦手ですが、いろんな人に意見を聞いたりしながら何とかやっている感じです。