留学先のロンドンで日本文化を発信

 「書家」という目標が決まると、目の前がぱっと開けた気がしました。もともと引っ込み思案な性格なのですが、目標のためなら何でもできる、と思えたんです。まずは腕を磨こうと、留学するまでの3カ月間で、地元にある4つの書道教室に通いました。せっかくロンドンまで行くのだから、何かチャンスがあれば必ず掴みたかった。そして、数十点の作品を持って渡英しました。

さまざまな作品を持参してくださった國廣さん。アクセサリー以外にも、布に書をプリントするなど、常に実験的な手法を取り入れています
さまざまな作品を持参してくださった國廣さん。アクセサリー以外にも、布に書をプリントするなど、常に実験的な手法を取り入れています

 ロンドンでは、日本文化のイベントに呼んでいただき、海外の方のお名前をひらがなや漢字で書くワークショップを行いました。参加した方々が予想以上に喜んでくれて、「書」の力と日本語の魅力を再確認することができたんです。それまで広島に住んでいたのですが、帰国したら東京に出て、本格的に書家として活動しよう、と決めました

文/藪内久美子 写真/品田裕美

國廣沙織(くにひろ・さおり)

書家・デザイナー。6歳から18歳まで書道を習い、26歳でその魅力を再発見。書家を志す。海外留学中に個展を開催。帰国後、広島から上京。「書」をより身近なものにすべく、ひらがなをモチーフにしたアクセサリー(http://hiragana.tokyo/)や、5種類の書体を学ぶワークショップ、漢字の動きを楽しむウェブサイトなど、さまざまな取り組みを行っている。
Webサイト:http://www.saorikunihiro.com

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