できることを続けていれば次につながる

 このイベントの中で、人の名前やお菓子のラベルを書いていたのですが、それを見た人から「筆ペンで名前をきれいに書きたいから教えてほしい」というお話をいただいて。少しずつ人数が増え、現在の「籠中会(ろうちゅうかい)」というワークショップにつながりました。「籠中会」では、一番書く機会が多いであろう自分の名前を、異なる5種類の書体を使って書くことで「書」に親しみをもってもらおうとアレンジしています。また、指導した方から「名刺のデザインをお願いしたい」など少しずつお仕事をいただけるようになっていきました。きっかけが何であれ、そこで自分にできることを精一杯やれば、次につながるのだと実感しました

 仕事の必需品は、辞書と筆ペン、それから印鑑です。辞書は複数持っていますが、「楷書体」「草書体」など異なる書体が載っているものをよく使っています。作品を作るときは、まず辞書に忠実に、さまざまな書体で書いてみて、そこからイメージを膨らませています。筆ペンはノートと一緒にいつも持ち歩いています。印鑑は、自分で堀って作ったものです。印刷した名刺1枚1枚に手作業で押しているんです。

仕事に欠かせないのが辞書、筆ペン、印鑑。「沙」と刻まれた印鑑は自らの手で掘ったもの。これまで配った1万枚以上もの名刺に一つ一つ押印してきたそう
5つの異なる書体で書かれた見本。書体によって見た目の印象も変わります

動き始めるのに「遅い」なんてことはない

 以前、美術館のミュージアムショップでアルバイトをしたことがありました。私が作っているひらがなアクセサリーは、ミュージアムショップを訪れるような人の感性に合うのではないかと考えたんです。実際にどんな人が来るのか、商品の選定や在庫管理はどのように行っているのかなど、知りたいことがいろいろあったのですが、仕事をしたことで一気に疑問が解決しました。自分に足りないものが見えてきたら、こうしてすぐに学ぶようにしています。動き始めるのが何歳であっても、「遅い」なんてことはないと思います。ほかにも、創業支援セミナーに参加したり、ときには弁護士の先生に相談したりと、自分で分からないことは外に出て情報を取り入れています。