キリンビール社員時代に「ビールの多様性を伝えていきたい」と社長に直談判をし、クラフトビール専門店「SPRING VALLEY BREWERY(スプリングバレーブルワリー)」を立ち上げた吉野桜子さん。どんなに大きなプロジェクトでもプレッシャーや迷いはないという彼女のルーツとは? 「乗り換え案内」になぞらえたユニークな人生観も伺います。


演劇活動とお酒の共通点

 入社以来、ブランドや商品の企画に携わってきました。仕事をする上で一貫しているのは、人に何かを伝えるときは「ストーリーを描く」ことです。軸になっているのは、中学2年から始めた演劇です。企画や商品コンセプトを作ることは、私にとって演劇の脚本を書くのと同じ感覚。ストーリーづくり、という点では、学生時代からしていることは同じかもしれません。

クラフトビール専門店「SPRING VALLEY BREWERY(スプリングバレーブルワリー)」を立ち上げた吉野桜子さん

 演劇の活動は今でも続けていて、中学からメンバーもほとんど変わっていません。もともと何かを作ることが好きだったのですが、アーティストのように一人で打ち込むのではなく、チームで一つのものを作りたいと思っていました。演劇はまさにチームで作るもの。脚本を書く人がいて、演じる人がいて、照明や大道具を担当する人がいる。いろいろな人の力があってこそ、一つの舞台が成り立つということにとてもやり甲斐を感じています。現在も、醸造家がいて、営業がいて、とチームで動く仕事をしています。やっぱり、皆で一つのものを作ることが好きなんですね。

 進路を決める時、根本にあったのは「人の心」への興味でした。大学で社会心理学を専攻したのは、演劇の脚本を書いていて、もっと深い人間心理が知りたいと思うようになったからです。その後、就職活動でお酒の業界を選んだのは、お酒が持つ「コミュニケーションツール」としての側面に興味があったから。人の心に訴えかけるものを作りたい、という気持ちは、演劇にもお酒にも共通しています。