自分が落ち込む原因を考えてみた

 シェルフィーも今ではメンバーが17人に増えました。皆が同じ方向を向いていくために私が気を付けているのは「予防医療」です。

 組織にはいろんな落とし穴があって、誰かがすごい不満を持っているのに、爆発するまで気が付かなかったりすることがある。そうならないように、一人一人の話を聞くようにしています。ポイントは、身構えられないよう、いかにさりげなく話し掛けるか。一言目は「最近、どう?」。そこから「最近もやっとしていることはある?」「うまく整理できていないことでもいいから言ってみて」と続けます。

取材中も、鈴木さんは社員の方々と雑談したり、声を掛け合ったりしていました
取材中も、鈴木さんは社員の方々と雑談したり、声を掛け合ったりしていました

 意識しているのは、ニュートラルな状態で聞くことです。「あの仕事がうまくいかなかったから落ち込んでいるのかな」といった予断は一切排除して、相手の思考をトレースすることに徹する。全部話を聞いてから、「こういう選択肢があるよ」と提案してみます。「こうしたほうがいい」とは言いません。

 仕事や人との関わりで「あのときああ言えばよかった」「ああすればよかった」と思うことはありますが、落ち込むことはないですね。それよりも次にどう生かすかを考えます。

 もともと楽観的な性格ですが、以前は気分が乗らないこともありました。原因は何だろう、と考えた結果、たどり着いた答えは「落ち込んでいるのは、思考停止しているからだ」ということ。考えるのをやめてしまうことが不快の原因だと気付いてからは、気持ちを切り替えるようになりました。

出産を見据えて「今崖っぷちに立とう」と判断

 スタートアップを選んだ理由の一つに、「32歳までに子どもを産みたい」ということもあります。周りで不妊に悩んでいる人が多く、30代後半になると妊娠する確率が下がるということを知ったんです。

 出産前後は物理的に動けなくなるので、それまでに実力を付けて、人材としての市場価値を上げておきたいと思いました。大手企業にはさまざまな制度が整っていますが、もしリーマンショックの数倍の経済危機が起きたら、会社がいつなくなるとも限りません。一番いい方法は、ベンチャーで自分を崖っぷちに追い込んで成長させることだと判断したんです。もちろんこれは私の考えで、唯一の正解だとは思っていません。