ドラマ『サプリ』に憧れ、ビジネスの世界を目指すように

 そんな私が、「ビジネスの世界こそ私の活躍の場だ!」と改めて確信したのは、中学3年生のときです。当時放送されていたドラマ「サプリ」(06年/フジテレビ/主演:伊東美咲、亀梨和也)を観たことがきっかけでした。「サプリ」は広告代理店を舞台にした物語なのですが、女性がバリバリ働き、男性と同等に渡り合っている姿に感銘を受けたんです。それからというもの、少しでもビジネスの世界が知りたくて、母の知人や塾講師の方を辿り、OB訪問としてとにかくビジネスマンに会いに行きました。

 進学先として早稲田大学を選んだのも、広告代理店などマスコミ系の就職に強いから、という理由でした。少しでも早く社会に出てビジネスマンになりたいと思っていたので、大学生活には重きを置かず、学生団体に入ったり、インターンをしたり、なんとなく「就職活動に有利になりそうなことはやっておこうかな」程度に考えていましたね。

「白」が好きだという中山さん。真っ白な会議室に、白のワンピースが鮮やか
「白」が好きだという中山さん。真っ白な会議室に、白のワンピースが鮮やか

 学生起業家になるきっかけをくれたのは、当時ITスタートアップでインターンをしていた親友との会話でした。「配属先企業がとにかくすごい環境だから、一度見に来てみたら?」とオフィスに連れて行ってくれたんです。そこでは私たちの2つ年上くらいの方たちが本気になって新しいものを生み出そうとしていて。繰り広げられる議論のレベルが高く、世の中にはとんでもない人たちがいるんだなと圧倒されました。そうした環境で後に生まれたのが、女性向けキュレーションメディアの「MERY」です。

 本気の現場に触発された私は、「学生でも、チームが本気になって新しいことを生み出そうと挑戦することはカッコイイんじゃないか」と思うようになりました。そして、私たちに何ができるかを友人たちと話し合い、「パジャマに特化したファッションショーってまだ世の中にないよね?」という会話から「パジャコレ」というイベントを着想。実際に動き始めたんです。「MERY」の前身となる会社訪問から、わずか1週間後のことでした。

ゼロから友人たちと作り上げたイベントが自信をくれた

 「パジャコレ」は、まず開催日時を決めるところからスタートしました。当時はモデルの女の子を集めるにしても、人脈も計画性もなかったので、facebookで「同じ早稲田ですね!」とアプローチしてひたすら口説いていったり、友達づてに紹介してもらったりと、もうがむしゃらでしたね(笑)。結果、「パジャコレ」は1年間に全国10ヵ所で開催、53社の協賛を獲得し、約3000人に協力していただく大きなイベントへと成長させることができました。

 イベントがTwitterなどのソーシャルメディアで拡散されたり、取材の機会が増えたりすると、女性向け商品の開発やマーケティング、ブランディングのお仕事を依頼いただくようになり、大学生活はそれらの仕事がメインになりました。現在はdivで“取締役”という肩書をいただいていますが、「パジャコレ」をチームでゼロから作り上げた経験は今でも大きな成功体験となっていて、会社や肩書きといった社会的信頼の担保が無くても、私という個人名でも生きていけるんだという自信を持たせてくれています

文/金澤英恵 写真/西田優太

中山紗彩(なかやま・さあや)

div 取締役。早稲田大学在学中に友人と企画したパジャマだけのファッションショー「パジャコレ」が、総計53社より協賛を獲得するなど、全国の大学生間で話題になる。学生起業家として注目されるも、新卒でリクルートキャリアに入社。ネットビジネス推進室にて買収案件のグロースを担当する。2016年2月、divに入社。同年4月より取締役に就任。

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