やりたいことのために、よりよい手段を選んでいきたい

 マギーズの活動は、自分たちだけで進めているわけではありません。学生時代の知り合いや、社外での交流会や勉強会、仕事を通して知り合った方にも声をかけたりして、手伝っていただくことも多いです。好きな人たちと自慢の仲間が繫がって、またひとつの仲間になっていく。それって、とても幸せなことだと思うんです。

 マギーズは来る者拒まず、去る者追わず。それぞれ仕事もあるし、個々人の事情がありますから、一人一人が無理せずやれる範囲で、自分のスキルを社会に生かせる場として使ってくれたらいいなと思っていて。その方が、結果的により大きな力になりますし、何より皆で楽しんでつくった方がいいものができるはずだと思っています。

 取材をしていくうちに、自分が一番のテーマとしているがん以外にも、複雑な課題や突然降りかかってきた困難に苦労されている方たちの存在を知り、自分にも何か具体的なサポートができないかという思いがふつふつと湧いてきています。そういう方たちの力になるには、これからもジャーナリストや記者という立場でいるのがいいのか、違う形を模索するべきか、今でも少し悩んだりもしています。

 NPO活動と記者の仕事。今後どちらが人生の軸になるかは自分自身でも分かりません。ただ、やりたいことはずっと変わらないので、今は記者の仕事を全うしながら、より良い手段を選んでいけたらいいなと思っています。

文/金澤英恵 写真/品田裕美

鈴木美穂(すずき・みほ)

日本テレビ報道局・社会部記者(厚生労働省担当)。NPO法人マギーズ東京共同代表理事。24歳で乳がんを経験。復帰後、社外活動として若年性がん患者を応援する団体「STAND UP!!」、がん闘病中でも参加できるワークショップを運営する「Cue!」を立ち上げる。2014年にイギリスのマギーズセンターと出会ったことをきっかけに「マギーズ東京プロジェクト」をスタート。2016年10月、東京・豊洲にマギーズ東京オープン。
マギーズ東京プロジェクト:http://maggiestokyo.org/

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