取り締まりの厳しさが、逆に危険を助長させている

 居場所がなくて街をさまよう子たちに手を差し伸べるのは、搾取しようとする人ばかりです。ただ最近は渋谷なども補導が厳しくて、夜11時以降に歩いていると警察に家に連れ戻されてしまう。通りにちょっと座っていても注意されるので、今の子たちは全然群れていないし、街にいる数は少なくなりました。

 でもそれによって、危険に直接つながっているんです。人目につかず泊まれるところを探そうとして、スマホのアプリで直接「おじさん」とやりとりしたりする。私の頃は、いつも街で一緒にいる友達の中で性病になる子がいたり、誰かの後輩が中絶するのが大変で病んでいたり、そういう経験が実感としてありました。でも今の子たちは孤立していて情報もシェアしていないので、避妊していないと危険だということも知らないことがある。大人からしたらだますのは簡単だと思います。

Colabo(コラボ)は、今年8月に中高生の売春をテーマにした「私たちは『買われた』展」を開催。東京・神楽坂の会場にて
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ピンチのときに相談してもらえる存在でいたい

 家族や学校での関係性に安心できるところがない子たちにとっては、信頼できる大人というか、人生のちょっと先輩みたいな存在が必要です。性のこと、彼氏にこんなことをされた、将来どうしよう…。友達同士のつながりだけでは解決できないことがある。そんなピンチのときに、連絡をしてもらえる存在でありたいと思っています。

 女の子たちが巻き込まれる危険な仕事やJKビジネスの話をすると「じゃあ規制しよう」という話には政治も行政ものってくれますが、そこに至るまでに彼女たちが家庭や福祉、教育現場でこぼれおちてきているんだという話をしても、なかなか認めてもらえないし、議論してくれません。

 「買う側」は悪だから取り締まろうとするけれど、それだけでは変わらない。そういう話を一生懸命しているところです。