現在、保育士の6割以上が使用している、子どものための遊び情報サイト「ほいくる」。アプリ版もApp Storeで高い評価を受け、今年7月には「第10回キッズデザイン賞」を受賞しています。生みの親である雨宮みなみさんは、もともと現場で働く一人の保育士。なぜ、現場の仕事を離れて起業したのでしょう? キャリアの変遷を伺いました。

原体験は中学「自然と笑顔になれる仕事があるんだ!」

 葉っぱに穴をあけたオバケのお面、ティッシュの空き箱と牛乳パックでつくった室内スキー、ガムテープの芯を使った起き上がり小法師…。私が24歳のときに立ち上げた「ほいくる」は、こうした子どもが夢中になれる「遊びのタネ」を紹介している情報サイト・アプリです。利用者の人たちが遊びの写真を投稿し、みんなで共有できるようになっています。

 起業する前はごく普通の保育士として、子どもや保護者と接する立場でした。起業した当初は名刺交換も初めてなら、ビジネスメールを書くのも初めて。「マネジメント」という言葉も初めて知り、『もしドラ』を読んで勉強したくらい。保育士の立場から、保育者や子育てを「支援する側」に回ったのは、現場にいて「本当は子どものためにやってあげたいことがなかなかできない」と感じることが増えてきたからでした。

キッズカラー 代表取締役CEO/保育士 雨宮みなみさん
キッズカラー 代表取締役CEO/保育士 雨宮みなみさん

 中学生のときには「保育士になる」と決めていました。きっかけは授業の職業体験でした。園児たちと遊んだときに、「自分がこんなにも自然でいられて、笑顔になれる仕事があるんだ!」と衝撃を受けたんです。今となっては何歳児クラスを担当したのか、細かな状況は覚えていませんが、その楽しさや感動は今でも記憶に残っています。それ以来、「保育園で働きたい」という気持ちを抑えられず、夏休みになると自分から保育園へ電話をかけ、ボランティアに出かけていきました。

 高校生の夏休みにも、保育園でプールの手伝いなどをしました。短大では保育を専攻し、満を持して保育園の実習に出かけたのですが、そこでは責任の重さを痛感することになったんです。