時短勤務で社会保険料が減ると、老後の年金も減るの?

 前回、出産手当金や育児休業給付金を受け取る場合、厚生年金保険料を納めなくても、納めたものとしてカウントしてくれるため、老後の年金額は減らないということをお伝えしました。

 でも、時短復帰の場合は、育休明けの下がった給料に応じた少ない社会保険料を納めるような届けを提出しているため、納めた厚生年金保険料が少なくなる分、老後に受け取る年金も少なくなります。

 でも、子どもを産むということは、日本の未来を支えることにつながっている――ということで、実は、もう一つ届出があります。それが、「養育期間標準報酬月額特例申出書」です。

覚えておくと安心です! (C)PIXTA
覚えておくと安心です! (C)PIXTA

 3歳未満の子を育て、時短勤務などで給料が減った場合、養育期間標準報酬月額特例申出書を提出すると、年金の計算をする際には、産休・育休前の給料に基づいて計算されるという特例があるのです。

 つまり、下がった給料に応じて毎月の厚生年金保険料等は納めますが、年金を計算する際には、産休・育休前の多かった時のお給料に応じた厚生年金保険料を納めていると見なしてくれるのです。

 その結果、支払う厚生年金保険料は少なくても、老後の年金額が減ることはありません。もちろん、これも会社を通じて手続きする必要がありますから、春から時短復帰した人は、復帰から3カ月後に手続きできるように覚えておいてくださいね。なお、既に時短復帰しているけれど知らなかった! という人も大丈夫。特例申出書は2年前まで遡って申請できますよ。

 出産や育児を選択することが、老後の年金額で不利にならないように考えられた制度です。該当する方はぜひ、男性も女性も賢く活用してくださいね。

文/前野彩 写真/PIXTA