前回お伝えした通り、私は大学卒業後、4年間保健室の先生として仕事をしていました。

 結婚と同時に大阪への転居が決まり、退職となりましたが、その時に思い出したのが「仕事を辞めたら“失業保険”がもらえる」という言葉でした。

 先に退職を経験した友達からも「仕事を辞めたら失業保険がもらえるから、しばらくのんびりして、その後に仕事を探したらいいよ」とアドバイスをもらっていたので、私も仕事を辞めたら当然、3カ月間は“失業保険”をもらえると思っていたのです。

 それなのに……私は1円ももらえませんでした。

(C)PIXTA
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 なぜだかわかるでしょうか?

 実は、4年間働いた勤務先は、「雇用保険」に加入していなかったのです。

 雇用保険は、日本に5つある社会保険の一つです。普段は意識することが少ない社会保険ですが、自ら行動する者に対しては、困ったときに助けの手を差し伸べてくれる心強い存在です。ただし、当たり前のことながら、加入していないと力を借りることはできませんし、加入していても、知らなければ利用することができません。

あなたは雇用保険に加入していますか?

 雇用保険に加入しているかどうかは、すぐに確認することができます。給料明細を見て、「雇用保険料」という欄に天引きされた金額があれば、ちゃんと雇用保険に加入しています。

 会社員であれば、ほとんどの方は雇用保険に加入しているかと思いますが、もしわからない場合は、会社やハローワークに確認してみましょう。なお、次にあてはまる人は、雇用保険の対象外なので“失業保険”をもらうことはできません。

雇用期間が30日以内
1週間の所定労働時間が20時間未満
公務員(退職手当法にて別規程あり)
自営業者(フリーランス)
法人役員(代表取締役など)

 さて、今まで“失業保険”とお伝えしてきたものは、正式には雇用保険の「求職者給付の基本手当」といいます(以下、基本手当)。基本手当は、雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)が12カ月以上あり、自己都合で退職したものの7日間の待ち期間を過ぎ、さらに3カ月を過ぎてもまだ仕事を探している状態のときに受け取ることができます。

 もらえる基本手当の金額は、退職前の6カ月間にもらっていた賃金(ボーナスは除く)を180日で割って出した賃金の1日分の50~80%です(年齢による上限あり)。

 もしも、26歳の私が雇用保険を納めていたとしたら、最大約57万円の給付金をもらう可能性があったのです。これだけの金額をもらえるか、もらえないかの影響は大きいですよね。