□ 家賃を払うのはもったいない!  を検証

 誰もが気になる「賃貸と持ち家、どっちがトクか」ですが、実はこの答えは、買いたい物件価格や頭金の有無、賃貸の家賃設定次第で、いかようにでも変わります。前提条件次第でどっちがトクかは簡単に変わるのがシミュレーションなんです。だからこそ、「家賃がもったいない」という損得で決めるのではなく、家を買った後の生活を想像して、その生活に楽しみややる気を感じられるかどうかで考えてほしいのです。

□ いざとなったらマイホームは資産になる!  を検証

 マイホームは、住んで利用するからこそ価値があります。いくら資産価値が高くても、売れないとお金にはなりません。また、最近では、相続による「空き家問題」もあり、誰も住まない家を相続しても、固定資産税を払い続けなければならない「負の遺産」としての面もあります。いつか売る時よりも、今の自分たちにとっての利用価値を重視してくださいね。

□ 金利が低い今なら、マイホームが買えるかも?  を検証

 私が家を買った2000年にも「今の金利は2.75%で低いですよ」と言われました。そこから16年が経ち、マイナス金利導入後の2016年3月のフラット35の最低金利は1.25%。わたしが買ったときと比べて、1.5%も下がっています。

 35年間金利が変わらないフラット35の金利は、確かに過去最低です。でも、16年間でこれだけ金利が変わるということは、長い35年間の返済期間中にそれだけ金利が上昇する可能性だってあるということかもしれません。ローンを組むときには、その変化に対する対応策も考えたうえで、自分に合うローンを選びましょう。

□ 住宅ローン控除があるから、家を買ったら税金が安くなる!  を検証

 その通りです。年末の住宅ローン残高の1%分を所得税や住民税から差し引いてくれます。安くなった税金分が、家を買った後の固定資産税分の支払いになれば助かりますね。ただし、減税分で家計がギリギリ何とかなる!というのはオススメできませんから、あくまで臨時収入的に考えましょう。

□ 頭金はできるだけ少なくして、借りられるだけ借りておこう!  を検証

 カーローンや教育ローンに比べると、金利が低い住宅ローンですが、それでもローンはローンです。利息負担は発生します。結婚や車購入などの数年先の支出のお金を残しておくことは大切ですが、必要以上に手元にお金を置いておくことは避けましょう。

 実はわが家は、銀行担当者がくれた「住宅ローンは金利が低いから、借りられるだけ借りた方が良い」というアドバイスを守りました。その結果、家を買った後にも「あれ?」っていうほどのお金が残り、そこから「このローンの組み方おかしい!」と気づいたのです。

(C)PIXTA
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 ファイナンシャル・プランナーの勉強をした結果、金利が低い金融機関に借り換え、さらには、少しでも早く返し終わるための繰り上げ返済を行うと、将来支払わなくてよくなった利息は800万円にもなりました。800万円ですよ! このように、返済方法次第で簡単に数百万円変わるのが住宅ローンの凄さであり、怖さです。

 この話をすると「前野さん、すごいね!」と言われますが、確かに、無知なまま大きな買い物をした失敗の証明です(苦笑)。

 20~30代の女性で早々にローンを組む場合、気合で早くローンを返そうとする元気があるのですが、妊娠・出産で働き方、つまり収入が変わる可能性が大いにあります。現実に、私のお客様でローン実行が産休直前と重なったため、融資を断られたという方もいらっしゃいます。変化が多い女性だからこそ、あなたに合ったローンの額と返済方法を手に入れてくださいね。

 そしてもし将来、あなたが家を買いたいと思ったときは、「家を買いたいあなた」「家を買ってほしい不動産屋さん」「ローンを借りてほしい金融機関」という、利害が一致する3者だけで考えず、あなたのライフスタイルや将来の収支まで見た上で、冷静で客観的なアドバイスをくれるファイナンシャル・プランナーを活用してください。きっと、あなたに合ったアドバイスをくれるはずです。

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