後納ってどんな特例制度なの?

 「5年の後納制度」の特例は、今年の9月まで使うことができます。

 「国民年金保険料を過去に納めていない期間があった!」「軽い気持ちで国民年金保険料を無視していたけれど、老後のことを考えたらやっぱり納めておきたい!」という20歳以上60歳未満の人で、5年前までの未納分が特例の対象になります。

 本来は、納めていなかった期間があっても、遡れるのは2年前まで。でも、今年9月までの期間においては、特例として5年前の分まで遡って納めることができ、後から納めると、その分だけ、年金額が増えるのです。

 増える金額は、納付1カ月につき、1624円。1年分を納めたら、1万9488円です。

 実際に、この「5年の後納制度」の特例を使った人達は、平均で約7カ月分の過去の国民年金保険料を納め、1万1433円の老齢基礎年金額を増やしています。

 なお、過去3年度以前の年金額を納める場合は、本来の年金額に、加算額という利息相当額が付きます。昔の分ほど加算額が上がり、1カ月当たり170円から630円となり、古いものほど加算額が高くなります。(国民年金保険料を納める場合は、古いものから先に納めていきます)

あと半年の間に、きちんと後納すれば、年金が増えるかも (C)PIXTA
あと半年の間に、きちんと後納すれば、年金が増えるかも (C)PIXTA

手続きはどうやるの?

 日本年金機構のサイトから、「国民年金後納保険料納付申込書」をダウンロード(記事末参照)して、必要事項を記入し、近くの年金事務所に持参するか郵送で申し込みます。日本年金機構から納付書が届いたら、早めに金融機関やコンビニから納付するようにしましょう。

年金額を増やしたら、その後は、税負担「減」へ

 今回の特例を使って保険料を納付した場合や、学生納付特例を使っていた期間の年金保険料分を後から納めたような場合は、「社会保険料控除」が使えます。

 会社員や公務員等の人なら、年末調整の時期に控除証明書を会社に提出すると、それで手続き完了です。個人事業主の人なら、確定申告の際に提出すると、同じく社会保険料控除が使えます。

 その結果、安くなる税金は、その人の所得税率によっても変わりますが、年収400万円の人なら、所得税と住民税の合計で「後納した国民年金保険料の15%分」の税金が安くなります。

 老後の年金を増やしつつ、税金の節約もできますから、直近の5年間で「国民年金を納めていない期間があったかもしれない……」という人は、まず、ねんきんネットで自分の年金納付記録を確かめることから始めましょう。

文/前野彩 写真/PIXTA