健康保険の手続きはどうすればいい?

 退職時に会社に健康保険証を返すと、自分で手続きをしない限り「無保険」になってしまいます。そのままにしていると、病院に行ったときの医療費負担は、全額自己負担です。

 そこで、在職時と同じ自己負担3割で受診するために、健康保険の手続きを行います。退職後の健康保険は、次の三つの中から選択します。

(1)家族が加入する健康保険の被扶養者になる
(2)退職前の会社の健康保険に引き続き加入する(任意継続被保険者になる)
(3)現在住んでいる市区町村の国民健康保険に加入する

 3種類の中で、「自分にはどれが一番おトクなのか」気になりますよね。それぞれの特徴は以下の通り。手続きや条件などがそれぞれ異なるので、しっかりとチェックしておきましょう。

退職後の健康保険 手続き期限 手続き先 健康保険料 特徴
(1)
家族の健康保険の扶養に入る
速やかに行う 家族が加入する健康保険に、家族の勤務先を通じて行う なし 60歳までは年収130万円以下、かつ、健康保険に加入している人の収入の半分未満であること
(2)
退職前の健康保険を続ける(任意継続)
退職日の翌日から20日以内 退職前に加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)、または、健康保険組合 在職時の健康保険料の2倍(上限あり) ・原則として、在職時と同じ健康保険の給付を受けることができる
・退職後に発生した事由による傷病手当金と出産手当金はない
・2カ月以上健康保険に加入していること
・最長2年まで加入可
(3)
国民健康保険
退職日の翌日から14日以内 住んでいる市区町村の窓口 前年の所得によって決まる 保険料は、所得や自治体、扶養家族の人数等によって異なる
出典:前野彩作成


 まず、(1)の「家族の健康保険の扶養に入る」方法は、パートナーや親などが加入する健康保険の扶養に入るということです。被扶養者になると健康保険料を納める必要がありません。失業して収入がない状態では助かります。ただし、被扶養者になるためには、年収130万円以下(60歳未満の場合)という条件に加えて、「雇用保険の失業給付」を受ける場合は、日額3611円以下という条件があります。

 失業給付については次回詳しくお伝えしますが、失業給付の金額は、日額3612円を超えることが多いため、失業給付を受けながら再就職先を探す場合は、次に説明する(2)の「任意継続」か(3)の「国民健康保険」のどちらかを選択するのが一般的です。

 (2)「任意継続」と(3)「国民健康保険」は、どちらがおトクかを比べて選びます。比べる項目は二つ。「毎月の健康保険料の金額」と「健康保険組合の付加給付の有無」です。