「自己都合による退職」の定義は?

 自己都合による退職とは、労働者側が転職や結婚、妊娠、出産、引っ越し、家庭の都合などを理由に、「自分の意思や都合で」退職を申し出ることです。

 自己都合の場合は、約3カ月の給付制限があるため、給付金の受け取りは受給資格者を申請した日から約4カ月後以降です。それに対して、特定受給資格者・特定理由離職者には給付制限がないため、約1カ月後から給付金を受け取ることができます。

「自己都合による退職」に当てはまらない例

 自ら退職を申し出た場合でも、条件によっては「自己都合による退職」に当てはまらないケースがあります。その条件を見ていきましょう。

 退職の直前6カ月のうち、下記のような時間外労働をした場合です。「残業が多くてこれ以上この会社では働けない」という理由での退職なら、時間外労働の時間をチェックしてみましょう。

・いずれか連続する3カ月で45時間の時間外労働をした
・いずれか1カ月で100時間の時間外労働をした
・いずれか連続する2カ月以上の期間の時間外労働を平均して1カ月で80時間を超える時間外労働をした

 このような理由で退職する場合は、自分から退職を申し出た場合でも自己都合による退職には当てはまらず、「特定受給資格者」に該当します。また、自己都合とは異なり、3カ月の給付制限はなく、年齢や勤続年数によっては、給付日数が長くなります。

 他にも自己都合と思い込みがちなものとして、特定理由による離職があります。次の理由により、通勤不可能または困難となって退職した場合です。

・結婚に伴う住所の変更
・育児に伴う保育所、その他これに準ずる施設の利用または親族等への保育の依頼
・事業所の通勤困難な地への移転
・事業主の命による転勤、または出向に伴う別居の回避
・配偶者の事業主の命による転勤、もしくは出向または配偶者の再就職に伴う別居の回避 など

 「結婚して職場から遠く離れた地域に住むために退職するのは、結婚というプライベートな理由だから自己都合」と思う人も多いかと思いますが、前述したような理由で引っ越ししたような場合も、自己都合による退職とは違い、3カ月の給付制限がなくなります。