年金額が増える以外にメリットはある?

 国民年金保険料を納付するということは、社会保険料を納めたということです。そこで、年末調整や確定申告のときに「社会保険料控除」が使えます。

 会社員なら、年末調整で生命保険料控除の証明書を提出している人も多いでしょう。それと同じように、秋頃に届く証明書を会社に提出することで、確定申告をしなくても税金を安くすることができるのです。

 例えば、年収400万円までの独身の人が、2年分の国民年金保険料として、約38万円納めたとします。すると、所得税と住民税で合計約5.7万円の税金が安くなります。

 つまり、約38万円の国民年金保険料を納めるけど、約5.7万円の税金が安くなるから、差し引きすると、実質約32万円の負担で老後の年金を年約4万円増やすことができるのです。仮に年金受給資格のある人が65歳から90歳まで生きた場合、老後の25年間で受け取れる年金額をトータル約100万円増やすことができるということです。

 老後の生活は、どの年代にも共通する不安ですが、若いうちに制度を活用すると、不安が減り、さらには将来「あのとき納めておけばよかった」という後悔を避けることができます。制度を生かして、安心老後の準備を進めましょう。

(文中の年金額は、すべて2017年度です)

【参考】
■「学生納付特例制度」(日本年金機構)
■「国民年金保険料の後納制度」(日本年金機構)

文/前野 彩 写真/PIXTA