皆さんは、学生時代に国民年金保険料の「学生納付特例」を利用していませんでしたか。また、「学生納付特例の手続きをしたから、そのお金は払わなくても大丈夫!」と思っていませんか。

支払わなくてもいいと勘違いしている人も

 20歳から60歳になるまでの日本に住む人は、学生であっても、月額1万6260円(2016年度)の国民年金保険料を納める義務があります。でも、学生は社会人とは違い、十分な収入がありません。そこで、年間178万人の学生が学生納付特例を利用して、国民年金保険料を納めるのを待ってもらっています。

「学生納付特例を利用したけど、払わなくてもいいんじゃないんですか?」 (C)PIXTA
「学生納付特例を利用したけど、払わなくてもいいんじゃないんですか?」 (C)PIXTA

 「えっ、待ってもらっている? 払わなくてもいいんじゃないんですか?」

 と、新入社員研修などでよく聞かれますが、学生納付特例制度を申請すると、その間にもし障がい者になっても、障害年金を受け取る権利は守られます。でも、待ってもらった国民年金保険料を後から納めなければ、老後に受け取る年金はその分だけ少なくなるのです

 また、「待ってくれる期間」についても注意が必要です。卒業して、本来納める年度から10年間は待ってくれますが、実は、2年を過ぎると下のように利息に相当する加算金が追加されてしまうのです

〇学生納付特例を使った場合の1カ月あたりの加算額
〇学生納付特例を使った場合の1カ月あたりの加算額

 例えば、2012年度と2013年度の2年度分を追納すると、本来納める国民年金保険料よりも、合計2520円多く納めることになります。ランチ2~3回に相当する金額なので、納めるのなら利息のつかないうちの早い方がおトクですね。

 国民年金保険料を後から納める場合は、年金事務所に「追納」の手続きを申請しましょう。手続きをすると、後日納付書が届きますよ。

 ただ、学生納付特例の追納は10年以内。残念ながら、10年を過ぎると納めることができません。2016年の今、さかのぼって追納できるのは2006年度分までです。ちなみに私は、働き始めたときに、母から納めなさいといわれたのですが、年金制度そのものがよく分かっていなかったので、「こんなお金払いたくない」と思い、放置していました。そして、その重みを知ったときには、すでに追納期間は過ぎている状態……。「ハッ」とした方は、すぐ確認してみてくださいね。

 さて、一気に追納するとなると、1年分は約18万円、2年分なら約36万円になります。必要なお金とは分かっていても、まとまった金額を前に、「う~ん。きついなぁ」と感じるかもしれませんね。そうなると思い浮かぶのは、「学生納付特例分を払ったら、将来いくらぐらい年金が増えるのか?」という疑問でしょう。