そもそも投資とは「誰かの役に立つこと」

 では、金融における「投資」とはどういうものでしょうか。

 先ほどの「将来のために、今、自分が持っているお金や力を使うこと」の目的が、私自身は「誰かの役に立つこと」だと思っています。

 例えばある企業が、風邪にかからない画期的な薬を開発するために頑張っていると想像してください。世の中の役に立つ薬ですが、お金がなければ開発はできず、開発ができても、大量に作って世界中の人々に届けることができません。

 そこで開発者は「新しい薬を作って売るためには、たくさんのお金が必要です。この事業に投資してくれませんか?」と、お金の面から応援してくれる人(株主)を探すわけです。将来を信じてお金を託した株主が集まれば、お金は集まり、開発者は薬を作り、販売することができるようになります。

 利益が出たら、開発者は「皆さん、この薬の可能性を信じてくれてありがとうございます! 皆さんがお金を出してくれたおかげで、社会の役に立つことができました。そのお礼として、得た利益の一部を皆さんに贈ります」と、お金を出した株主に対して配当金や株主優待を行います。また、「この会社を応援するのは、もう十分だろう」と思う株主は、この権利を売って売却益という利益を得ることができます。

 その反面、利益が出なければ、「皆さんがお金を出してくれたにもかかわらず、この薬は世の中に必要とされず、売れませんでした。出してくれたお金は薬を作るために使ってしまったので、お返しできません。そこで、どうしてもお金が必要な人は、あなたが出してくれた金額より少なくなるかもしれませんが、他の人に株主の権利を売って、現金を得てください。なお、もしも倒産するようなことになっても、最初にあなたが出した金額がゼロになったら終わりで、会社の借金をあなたが負うようなことはありません」ということになるのです。

一歩踏み出したい人へのおすすめは?

 では、「投資を始めたい!」と考えている人へのおすすめ2つをご紹介します。

【iDeCo(個人型確定拠出年金)】

 iDeCoとは、投資信託や定期預金などの金融商品に毎月一定額を積み立てて運用し、60歳以降に年金や一時金として受け取る制度のことです。最大のメリットは、税制面での優遇が大きいこと。特に、(1)毎月の掛け金が所得から控除されて税金が安くなること(2)運用中の利益に税金がかからないこと(3)60歳以降の受け取り時にも税制優遇があることの3つがおすすめポイント。専用口座の開設が必要なため、まずは金融機関を選んで申込書を取り寄せましょう。

 さらに詳しく! 「税金が安くなる 『年末調整』 iDeCoの書き方

【つみたてNISA】

 iDeCoはおトクだけど、60歳まで引き出せないのはちょっと……。という人に向いているのが、投資信託を積み立てる「つみたてNISA」です。通常は、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAの専用口座で投資信託を積み立てると、年間40万円までの新規投資額については最長20年間非課税となります。まずは、証券会社や銀行で専用口座を開設しましょう。つみたてNISAを扱っている証券会社や銀行によって、購入できる投資信託の数は、大きく異なります。金融機関のホームページの分かりやすさなども含めて選びましょう。

 さらに詳しく! 「来年開始の『つみたてNISA』挑戦しやすいメリット

投資した会社の業績が良好であれば、配当金や株主優待で「利益」を得られる可能性大。一方、業績が悪化したときは元本割れするリスクもあります (C)PIXTA
投資した会社の業績が良好であれば、配当金や株主優待で「利益」を得られる可能性大。一方、業績が悪化したときは元本割れするリスクもあります (C)PIXTA

 英会話のレッスンにお金をかけても、期待したレベルの利益が得られるかどうか分からないように、金融商品への投資も、自分が期待した水準の利益が得られるかどうかは、分かりません。ただ、「投資」の非課税制度が広がっている今、当たり前のように行ってきた自己投資の一つに、株式や投資信託などの投資を加えてみてはいかがでしょうか。

文/前野彩 写真/PIXTA