サービス付き高齢者住宅に入居したらいくらかかるのか

 A子さんは、独り暮らしの母親に介護が必要になったことに備えて、母親が老後を安心して暮らせる住宅を検討し始めました。A子さんの母親は、今は元気で介護の必要はありませんが、最近は、歩いていてもつまずくことが増えてきたとのこと。A子さんと同居することは考えておらず、友人がいる今の住み慣れた地域で暮らしたいという希望があります。そんなとき、近所に「サービス付き高齢者住宅」ができたので、その見学会に親子で参加しました。

 母親が1年間に受け取れる老後の年金は160万円です。この年金をベースに、この施設に入った場合の収支を考えてみました。

○入居一時金:30万円
○要介護3での1カ月の月額費用:約24万円

費用名 金額
家賃 8万円
食費 6万円
生活サービス費 3万円
共益費 3万円
日用雑費 0.3万円
リネン代 0.2万円
おむつパッド代 0.3万円
要介護3介護保険1割負担 2.7万円
医療費自己負担額 0.6万円

 ホームページに出ていたのは、家賃、食費、生活サービス費、共益費の20万円でしたが、見学会でもらったパンフレットには介護度によって変わるその他の支出の目安額も書いてくれていました。

 おむつパッド代に介護保険や医療費の自己負担額などは、入居者の個人の事情によって異なりますが、家賃と食費だけではなく、生活していく上でのこまごまとした支出も含めると、この施設では月額約24万円が必要ということになります。

 A子さんの母親の老後の年金は年160万円で、1カ月にすると年金額は約13万円ですから、不足額は月額11万円になります。

 平均入居期間は、介護付き老人ホームで平均3.8年というデータがありますから、これを基に計算すると、毎月の不足額11万円×3.8年=502万円となり、入居時に約500万円の預貯金があれば、「平均データ」的にはなんとか乗り越えられるのかもしれません。(出典:公益社団法人 全国有料老人ホーム協会「平成25年度 有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅に関する実態調査研究事業報告書」)

※平均入居期間とは、入居から退去の期間ではなく、入居者が調査時点までに何年入居しているかの平均値