これらのお金は、自治体に住む人たちが納める税金がモトになっています。つまり、その地域に住む大人(納税者)がいるから、私たちは自治体サービスを利用して大人になることができたのです。それなのに、大人になって自分で税金を納める年齢になると、地方から都会にいく子どもも少なくありません。

 そうなると、子どもを育てた自治体にとっては、支出はあれども、収入はありません。手をかけ、お金をかけ、ようやく実ろうというときには、その実は都会で収穫されてしまうのです。

 これでは、地方にお金は入らず、十分な自治体サービスができなくなる可能性があります。十分な自治体サービスがないと、住みにくい社会になり、より住みやすいところを求めて、人は出ていきます。するとさらに、地方の自治体にお金は入らず、自治体サービスは悪化し、さらに人がいなくなっていくという悪循環が発生する可能性があります。

 これが地方の元気がなくなり、過疎化していく理由のひとつなのです。

 そこで、この状態を何とかしよう! とふるさと納税が誕生したのが、2008年度のことでした。

ふるさとってどこ?

 「ふるさと納税」は、都会で実った税金の一部をふるさとにも分けることができるようにした制度です。

 つまり、大人になって税金を納めることができるのは、今まで生まれ育ったところが税金を使って育ててくれたからなので、納める税金(主に住民税)の一部を、「ふるさと」に分けて納めることができるようにしたのです。これなら、今、住んでお世話になっている自治体にも税金を納めることができるし、今まで育ててもらった「ふるさと」にも納税できるので、手をかけ、お金をかけて、子どもを育ててきた自治体も助かりますよね。

 でも、ここで困ったことがおきます。それは、「ふるさと」の定義です。