ふるさと納税は、本来自分の住所地に納める税金の一部を希望する自治体に分けて納める制度でしたね。

 ということは、あなたが他の自治体にふるさと納税をすればするほど、今、住んでいる自治体の税収は減ります。税収が下がった状態が長期間続けば、例えば子育て家庭に向けた医療費の補助の縮小や高齢者向けサービスの悪化、市町村施設の利用料の値上げなど、自治体の政策やサービスに影響を及ぼして、住みにくい街になってしまうかも知れません。

 これが、ふるさと納税のデメリットなのです。

 現実には、税収が減った自治体の多くは、国からの穴埋めサポートがありますが、ふるさと納税で減った税収分を全額穴埋めしてくれるわけではありません。やはり、一部のマイナスは残るのです。

 次の表は都道府県単位でみた税収減少の状況です。ふるさと納税を利用した人の意図まではわかりませんが、大都市の税収が減少していることがわかります。

<住民税が減った都道府県トップ5>
<住民税が減った都道府県トップ5>
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」平成28年8月

 このようなふるさと納税のデメリットは、直接のお金の動きや個人単位で考えたときには、意識しづらい問題かもしれません。だからこそ、今回のこの記事を通して、税金の使い道について、ほんのちょっと意識を向けて頂ければと思います。

文/前野彩 写真/PIXTA