なぜ所得格差は縮小したの?
ここに総務省が発表している「家計調査」というデータがあります。この中では、年間所得(税込)を、200万円以下、200-250万円……1500万円以上と18の階級に分けたデータが開示されています。更に、その階級ごとの世帯数の比率が含まれています。
■「家計調査」(総務省/記事末参照)
2002年から2012年までのデータを見ると、年収が500万円以上の全体に占める世帯数が、軒並み低下。一方で、年収が500万円以下の世帯比率が上昇しています。
つまり、日本の経済格差は縮小といっても、長引く景気後退で豊かな世帯数が減ったことが主因なのです。結果、平均的にみんなの所得が低下しているということです。みんなが豊かになって格差が縮小しているわけではない。むしろ中間層の減少や貧困層の拡大は日本の課題です。
格差というと、お金持ちが増えている印象がありますが、アメリカ、イギリスでは実際に「お金持ちが増える現象」が起きています。しかし、日本の場合はその逆で、お金持ちが減っています。それにより経済格差が縮小したものの、みんなの所得が平均的に減少したことで新たな経済課題が生まれているんです。
では、全体的に所得が縮小傾向にある中で、私たちはどうすべきでしょうか。
政府としては、こうした課題のためにお金を支給するわけにいきません。ただ、あらゆる形で税控除を設ける可能性が高いと予想されます。
キャリアアップへの努力はもちろんですが、見落としがちな税制優遇や、確実にリターンのある税控除など、税制についての知識を持つことが、今すぐできるリスク回避なのかもしれません。私も今年は税制について改めて勉強する年にしようと思います!
※本コラムは今回をもって休載となります。1年間お付き合いいただき、ありがとうございました。
文/崔真淑 写真/PIXTA