あのシェリル・サンドバーグも陥った思考癖

 関連論文を見ると、こんなことが示されています。現代社会においては、社会的な成功をすることと、社会的に望ましいと考えられる女性のイメージとが一致しないことで、女性は葛藤を感じやすく、その葛藤がインポスター現象に陥りやすい原因とも挙げられています。

 確かに仕事で上手くいったとして、「女性としては、それってどうなの?」なんてことを言う人、時々いますよね。そんな声に、無意識のうちに影響を受けているのかもしれません。

 仕事も家庭も大切にし、成功している働く女性の代表格とも言われる、米フェイスブックCOOのシェリルサンドバーグも、インポスター現象で悩んだことを告白しています。成功者でも陥るわけですし、働く女性にとっては根深い思考癖のようです。では、どうしたらよいのでしょうか。

自分の価値を正当化するためには、とにかく分解

 自己評価が低いと、会社の人間関係だけでなく、いろんなところに影響が出てきます。

 それは、自分のお給料です。

 現在の私は、起業してマクロエコノミストとして経済分析やそれに基づいた情報発信、メディア活動、コンサルティングをさせてもらっています。おかげさまで、いろんな企業と取引を行う機会が増えてきました。でも、そこには交渉という作業がつきもの。そうすると、たまーにですが、「女性だから安くてもいいや」と考える人が現れてくるのです(笑)。そうした人が出てくるのは、まさに女性というのは自己評価を低く見積もりやすい傾向にあるのを肌感覚で知っており、言い値でイケるだろう、なんて考えていると思われます。

 男女の賃金格差が日本だけでなく、働く女性先進国と言われる欧米でも見られる傾向です。この格差は縮まりつつあるものの、日本の女性の給料水準は男性の約7割、欧米の約8割という結果になっています(出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)。この原因は、社会的な構造やいろんなことが影響しているでしょう。これは仮説ですが、女性の自己評価が低くなりがちなことも影響しているのではないでしょうか。

 会社に所属している方でも、自分のボーナス査定や、自分の成果をアピールする機会は沢山あるはず。そこで、勉強させてもらったしなんて謙虚な気持ちも大切ですが、自分の貢献を数字に表すなり、正当な評価をしてもらうため表現・分析方法は欠かせません。そこに経済学のツールをどう活かすかは、私の起業するきっかけを交えながら、次回に紹介していきます!

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