「美しい人ほど年収が高い」は本当か?

 では、今回のお題でもある、美しさと年収には関係はあるのでしょうか。

 1970年代の米国で、美しさという要素も含んだ大規模調査データがあります。このデータに基づいて美しさと年収の関係をみてみましょう。もちろん、年収に影響するのは、学歴、健康、年齢、地域、勤続年数……いろんな要素があります。そこで、経済学の中で使われている統計的方法で、こうした要素を取り除いても、美しさと年収には関係が見られるかを分析してみました。

 すると、男性・女性どちらも、美しさの評価が高いほど、年収が高いという結果が見られました。でも、この傾向は男性の方が強く出ていました。

 美しさを4段階に分けた場合、最も下位の層に位置付けられた男性は、平均よりも13%も年収が低く、女性の場合は4%低いという結果でした。一方で、最上位の層に位置付けられた男性は、平均よりも年収が高いという傾向は見られなかったものの、女性は8%高いという結果が得られました。もちろん、「美しいから年収が高いのか」「年収が高いから美しいのか」という方向の因果関係は、この分析結果だけでは分かりませんが、やっぱり見た目と稼ぐ力には何か関係がありそうです。

 では、年齢とともにこの傾向はどうなるのでしょうか?

弁護士、医師、CEOでは、美しい女性ほど年収が高い

 女性の場合、年齢を重ねると、見た目と年収の関係は統計的に薄まる傾向が見られました。やはり年収は実力によって得るものなのかもしれませんね。

(C)PIXTA
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 しかしこれを職業別にみてみると、意外な結果が……。弁護士、医師、CEO、会計士…といったプロフェッショナルな職業に就くキャリア女性だけに限って分析をすると、なんと、年齢を経ても、美しさと年収の関係は強い傾向を示していたのです。ダニエル博士はこの背景に、美しさに実力が重なり、年が経つにつれて大きな仕事をとっていくからではないかと仮説を置いています。

 働く女性たるもの、仕事も見た目も気を抜けないといことでしょうか。うう、それは大変だ~。でも、自分磨き投資が実は年収につながると知ったら、パートナーも、未来の夫も喜んで私たちに投資してくれるかなぁと、淡~い期待を抱いてしまいますね。

文/崔真淑

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