とにかくアウトプットを増やすためには

 Boice先生は、論文が書けなくて困っている大学教員を集めて、三つのグループに分けました。

(1)自分にとって緊急があると感じた場合以外は、執筆を行うことを禁止したグループ

(2)50回分の執筆時間を組ませて、気分が乗ったときに書いてくださいとしたグループ

(3)50回分の執筆時間を組ませて、執筆をさぼった場合にペナルティを課したグループ

 さて、執筆時間をとって、その結果としてのアウトプットの量が最も多かったのは、どのグループでしょうか?

 断トツで多かったのは(3)のグループでした。しかも、それは(2)のグループの3.5倍。そして、(1)のグループの16倍ものページ数を書き上げたのです。

 「量は出せても質は…」と疑問に思いますよね。独創的なアイデア(Boice先生が実験で定めて基準のなかでの独創性による)が浮かぶ頻度が高かったのは、これも断トツで(3)グループでした。

「書けなくても書き続けろ」―それがいい仕事を生む

 つまり、書く作業を習慣化し、その行為自体が質の向上にも貢献していたのです。

やればやるほど仕事のクオリティが上がるということ (C)PIXTA
やればやるほど仕事のクオリティが上がるということ (C)PIXTA

 これは、「気分が乗ったときに一気に書き上げよう」「気分が乗ったら、一気に仕事を仕上げてしまおう」というのは、実は良質なアウトプットや仕事結果につながらないことを示唆しています。

 またまた耳が痛い…のですが、私も今日からは、気分が乗ったら仕事をするのではなく、無理矢理にでも「インプット&執筆時間」をスケジュールに入れ込むことにしました。さて、その結果は……。良い報告ができるよう、まずは頑張ってみますね。

文/崔真淑 写真/PIXTA

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