そもそも年金とは何?

 年金改革の今後を考えるまえに、そもそも年金とは何かを考えておきたいと思います。

 年金とは、「長生きに対する保険」とも言い換えられるでしょう。

 人間は、自分がいつ死ぬかわかりません。また、健康的に人生を最後まで全うできるかもわかりません。そのための保険なのです。

 では、なぜ年金制度の継続性についての議論がなされないのでしょうか。理由は2つあります。

 一つは、みなさんご存知の通り「少子高齢化」です。年金制度を支えている現役世代の数に対して、高齢者の比率が高いことがあります。

 そして、もう一つの理由は、意外に思うかも知れませんが、「長寿化」です。長生きすることは、それ自体はめでたいことです。そのため、人口の「長寿化」による年金へのデメリットはこれまで積極的に議論されませんでした。

平均寿命が100歳を超える可能性

 ロンドン・ビジネススクール教授で、企業組織論の大家であるリンダ グラットン博士は、著書「ライフ・シフト」で、衝撃的なことを書いています。

 「2007年生まれの子どもたちは、平均寿命は105歳前後になるだろう」と…。

 平均寿命が100歳を超えるってあり得るの? と思った方もいるかもしれません。ただ、過去のデータを見ていくと、医療の進化や食料事情の改善によって、私たちの平均寿命がドンドン上昇してきているのは確かです。

 では、私たちアラサー世代の平均寿命は何歳になってしまうのでしょうか。

 現在の先進国の女性の平均寿命は80歳前後ですが、将来は「90歳を超える」といわれています。このまま少子高齢化と長寿化が同時進行していけば、今後、年金制度は支給額だけでなく、さらに「別の条件」にメスが入ることになるかもしれないのです。

 その条件として考えられるのは「支給開始年齢」です。