できていないところを無理やり探して、自分を責めてない?

 自罰的な人は自分で自分を律し過ぎているという感覚もなくて、彼らにとって「頑張る」は当然で当たり前なことなんですよね。そして、こちらからの「そんなに頑張り過ぎないで、休んで」というメッセージは、全然届かないんです。

 確かに私も、死ぬほど自分の容姿に悩んでいた思春期のときに「大丈夫、かわいいよ」と周りに言ってもらっても響かなかったように、人間って自分で自分を認めてあげないと、他人に何を言われようが、自分自身を評価してあげられないんでしょうね。

 だからこういった人は家事でも育児でも仕事でも、何かできていないところを無理やりにでも探して自分を責めてしまう。一見、美徳にも見えるかもしれないけど、でもそれに終わりはないし、体を壊してしまうこともたくさんある。なのでここから脱するためにも、必要以上に自分を責めていることを自分で認知することが第一歩かなと思いますね。「自分に自信を持って」なんて言うのは簡単ですが、それができたら人はこんなに悩まないですから。認知して、そんな自分を一回受け入れて、「自分のこと責めちゃうけど今はしょうがないよね」って自分を許す作業が必要なのかなって。

――頑張り過ぎた結果、心を病んでしまう方も多いです。でも自分が「頑張り過ぎ」かどうかを判定するのって難しいですよね。

 例えば起きるのが遅くなったとき、「ああ、こんな時間まで寝ちゃった」と思うのか、「いっぱい寝られて体も回復! ラッキー」と思うかで自分のタイプが分かるような気がします。そこで「こんなに寝ちゃった」と後悔してしまう人は若干、自罰傾向があるかもしれません。

 ただ自分の性質に気付けたとしても、結局これは長年の思考の癖なので、すぐに直すことは難しい。たぶん自分を責めることで自我を保っている側面もあって、「これができていない」と思うことによって「自分ならできるはず」と己を奮い立たせているというか……。

 なので私は、信頼できる他人の力が必要だと思います。カウンセリングもいいですよね。私も、夫と私だけだとずっと向き合っちゃって客観的な視点を入れにくくなるので、お互いのためにも信用できるカウンセラーの先生を見つけておきたいなあと考えているところです。

 後は、家族や友人、パートナーなどの身近な人が、様子をしっかり見てあげて、「また自分のことを責めているな」と思ったらすぐにサポートをしてあげることも大切ではないでしょうか。会社なら、上司が頑張りすぎている部下に休みなさいと言うのもとても大切だと思います。