忙しい毎日のなかで効率的に体にいいものを摂取するには、自宅での調理の際の食材選びは重要なポイント。しかし、食物の栄養成分やその機能についてまだ広く知られていないものもあります。今回は私たちにとって身近なキウイフルーツ(以下、キウイ)の栄養とあまり知られていない働きについて、駒沢女子大学人間健康学部健康栄養学科の西山一朗さんに聞きました。

中国生まれ・ニュージーランド育ちのキウイ

果肉が黄色のキウイと緑色のキウイとがある。それぞれ、含まれる栄養素の量が異なる
果肉が黄色のキウイと緑色のキウイとがある。それぞれ、含まれる栄養素の量が異なる

 そもそもキウイは、中国が発祥。1904年に中国から「ヤンタオ」の種子を持ち帰り、「チャイニーズ・グーズベリー」としてニュージーランドでの栽培が始まり、さまざまな品種が誕生しました。

 「1959年にニュージーランドからアメリカへの輸出を機に、キウイと呼ばれるようになったといわれています。日本には1963年に上陸しました」(西山さん)

 ニュージーランド産の収穫シーズンは4月頃で、4月末~12月上旬まで出回ります。一方、国内産は収穫シーズンが10月末~11月。11月末~翌年4月ごろまで出回ります。よって、輸入もの、国産もの合わせて、1年を通して安定した価格で入手できる手頃な果物となっています。

レモンよりもビタミンCが多い

 キウイには、一般的に知られている果肉が緑色のもののほか、黄色の果肉の品種もあります。栄養面では黄色の果肉のほうがビタミンCやビタミンEは多く、1個当たりの食物繊維の量は緑色の果肉のほうが多く含まれています。

 「食物繊維、カリウム、ビタミンEのほか、妊娠中には多く摂取したほうがいいとされる葉酸なども豊富で、不足しがちな栄養素をバランスよく含んでいます。生で食するため、調理による栄養素の損失はありません」(西山さん)

 ほかのフルーツと栄養量を比較してみると、キウイの優秀さがよく分かります。重量100g当たりの栄養素充足率スコア(17種類の主要栄養素:たんぱく質、食物繊維、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンE)で見ると、バナナは「8.1」、レモンは「5.1」、りんごは「1.8」である中、緑色のキウイは「10.6」、黄色のキウイは「15.1」とダントツの数値です。

キウイは、ほかのフルーツと比べても、栄養素を豊富に含んでいる
キウイは、ほかのフルーツと比べても、栄養素を豊富に含んでいる

 ビタミンC含有量で見ると、レモン果汁100g当たりでは20mgであるのに対し、緑色のキウイ100gで80mg超、黄色のキウイ100gでは160mg超と、ビタミンC含有量は卓越しているのです(いずれも「ゼスプリ」ブランドのキウイの数値)。

 西山さんは食品が持つ機能として、一次機能が栄養素としての働きをする「栄養機能」、二次機能としてはおいしさ、歯ごたえ、見た目などの機能である「嗜好機能」。そして三次機能として健康の維持、健康状態に作用する「生理調節機能」があると説明しました。

 生理調節機能のうちでも、特に、消化器系機能への働きが検証されています。