若い人に増えている“S字型歩行”って?

 まずは座った状態で足を乗せて1枚。次に、まっすぐ歩いた状態でカーボン紙を踏み、歩行時の重心チェックのためにもう1枚。

足のどの部分に体重がかかっているのか、実際に歩いて検査します
足のどの部分に体重がかかっているのか、実際に歩いて検査します
足のどの部分に体重がかかっているのか、実際に歩いて検査します

 それらを比較してみると……。

左が静止時、右が歩行時のプリント。色が濃くなっている部分に体重がかかっています。編集Oは親指の付け根に一番濃い色が出ていました
左が静止時、右が歩行時のプリント。色が濃くなっている部分に体重がかかっています。編集Oは親指の付け根に一番濃い色が出ていました

 「静止時のプリントから分かるのは、あなたの足はかかとの骨がとても小さいこと。かかとの外側についている骨も小さめですね。結果、かかとから着地した時に不安定になりやすく、重心がアウトサイド(外側)に流れやすい。ほら、歩行時のプリントを見ると一目瞭然。プリントの色が濃くなっている部分は体重がかかっている箇所です。歩いている時に、かかとで体重を受け止めきれずに外側に流れていますね」

 「その後、まっすぐ歩行するためのバランスを取るために、反対側へ重心を振り切る。この時、親指の付け根の骨に負担がかかって外反母趾の原因になっているのです。そして、指のあたりのプリントの色が濃くなっているということは、かかとで受け止めきれなかった分、かよわい指が頑張って体重を支えているということ。足指が痛くなる理由はこれですね。典型的な“S字型歩行”ですが、若い女性にとても増えているんですよ

 先生いわく、正しい歩行はかかとから着地して、まっすぐ体重を移動させる“ストレート型”。体重をかける負荷の割合は、かかとが75%、土踏まずが25%、指は5%程度というのが足に負担のないバランスだそうです。

 「かかとでしっかり体重を受け止め、まっすぐ指にバランスを移動させるウオーキングの習慣こそが、足のトラブル防止のカギになります。指先はやさしくピアノの鍵盤をタッチするくらいの軽やかさで、リラックスした状態を保ってください」

 間違った歩行習慣によって指先に力が入った状態が続くと、指の末端まで張り巡らされた毛細血管が収縮し、血流が悪化。結果、疲労やむくみの原因になってしまうとのこと。外反母趾や足指の痛み、むくみの原因の大半が、“歩き方”にあったなんて!

 「人の顔がそれぞれ違うように、足の造作(ぞうさく)も人それぞれ違います。自分の足の造作をよく知って、それによって起こしやすいトラブルを理解しておくことが、正しいセルフケアにもつながります」

 編集Oのようにかかとが小さい人には、足裏のバランスを整える矯正中敷や市販されている『ウオーキングバランス』がお勧めとのこと。

 「働く女性のキレイ習慣」では、ほかにも正しい靴の選び方や、自宅でできるセルフケアも紹介しています。合わせてぜひチェックしてみてください。

文/宮本恵理子

この人に聞きました
福岡宜子(ふくおか・よしこ)さん
フットケアコンフォートセンター ペドーシスト(足矯正技師)

1992年、日本初のペドーシストによるサロン「フットケアコンフォートセンター」を開設。これまで足を見てきた人は6万人以上。サロンでは、個人の足の状態や悩みに合わせたオーダーメイドの矯正中敷きを作れる。より手軽に装着できるパンプス用インソール「ウォーキングバランス」(1足分・税抜き2500円/コロンブスとの共同開発)がデパートや東急ハンズなどでも販売中。