「誰かを助けたい」という気持ちが、ダメンズを引き寄せる

 じつは、看護師に多い悩みのもう一つは、「彼氏に依存される」というもの。つまり、いわゆる「ヒモ男」に引っ掛かってしまうのです。私のところに相談に来たあまたの看護師の彼氏たちは、なぜか決まって「ダメンズ」。働いていない、借金がある、ギャンブル好き、女性のいるお店が好き、などなど、さまざまなお金の問題を抱えていることが多く、はるかさんの彼氏もまた、たまにしか働かないヒモ同然の男性でした。

 はるかさんもそうなのですが、彼女たち看護師は決まって、「私がなんとかしてあげないと」と言います。看護師という献身的な職業に就くような女性ですから、「誰かを助けたい」という気持ちは人一倍強いもの。その延長で、彼氏の面倒を見てしまいがちなのですが、その状況が心地よいのか、彼氏はどんどん「ダメンズ」化してしまうのです。

 はるかさんの彼氏は5歳年下のイケメン。4年前から付き合い始めたそうですが、彼がヒモ化したのはくしくもはるかさんがガン病棟に移った頃のこと。今でははるかさんの家に転がり込み、半同棲状態で、家賃や生活費はすべて彼女持ち。彼がたまにしているアルバイトは、彼自身のお小遣いに充て、全く家にはお金を入れていません。

 さらに、彼がブランドファッションを好むことも問題を深刻化させました。買い物依存になっているはるかさんが服を買うと、「お前ばかりずるい」と彼が言い出すため、はるかさんは彼氏の分も服を買ってあげるのだとか。なんとこうして彼のために使う金額は、月10万円に上ることも! 生活費が2倍、さらに彼氏へのお小遣いで出費がかさんでいたことが、はるかさんの家計をパンク寸前にしたというわけだったのです。

お金の見直しが人生の見直しにつながった

 これではいくら稼いでも家計は火の車のまま。まずは、「ストレスで物を買う」という点について掘り下げる必要があると考え、私はこう質問しました。

「たくさん物を買うって話だけど、それ本当に欲しいの?」
「うーん、休日は彼と買い物をするから、その流れで買っちゃってるかな……」
「休みの日に他にしたいことはない?」
「……映画見たり、ライブ行ったりしたいな……」

 はるかさんはそこでストレスから無意識に衝動買いをしていたこと、自分が本当はやりたいと思っているものがあることに、あらためて気付いたように見えました。

 その相談から3カ月がたった頃、はるかさんから再度マネー相談をしたいと連絡があり、私とはるかさんは再会しました。なんとそこには、例の年下彼氏もいたのです(本当にイケメンでした)! はるかさんは、二人で家計について考えたいという思いから、彼氏も連れてきたようです。

 しかし、蓋を開けてみると、はるかさんの思惑とは違った展開になりました。

 彼氏は開口一番、「俺、はるかを幸せにしてあげたいんですよ」と言ったので、これは安心だと私は胸をなで下ろしました。ところが、続いたのはこの言葉でした。

 「だから俺、はるかに家を建ててほしいんです」