「実家暮らしの社員に負けたくないんです!」

 そこまで舞さんが倹約に倹約を重ねてお金を貯めているのは、自身のコンプレックスが裏にありました。

 彼女はコンクリートが好き過ぎて東京に来たものの、関東に知り合いもいませんし、派遣社員であるため、長い間同じ人と働けるとは限りません。また、大手ゼネコンの社員は皆高給取り。自分と同年代で実家暮らしの女性社員は、自由に使えるお金が舞さんの倍以上あります。もともとバイタリティーあふれる舞さんですから、「あの子たちに負けない!」という強い執念(?)を抱くに至ったわけです。

 さらに、こういうハングリー精神が旺盛な舞さんと同じタイプが近くにいなかったため、深く付き合える友達もいなかったようです。

 さて、彼女の悩みに関して言うと、家計の状況は全く問題ないということになります。

 ただ、こんなにストイックに貯蓄に励んでいて、ストレスはないのだろうか? とむしろ心配になってしまいました。

 舞さんのようにバイタリティーあふれる人は、その力を正しい方向に使えば、目標を必ず達成できます。でも、方向を間違うと、恐ろしい勢いでパワーを浪費してしまうもの。ですので、今回は舞さんが「将来どうしたいのか」という方向付けをお手伝いしようと考えました。

 そのうち、舞さんはこんな悩みを打ち明けました。
 「私、どうも日本人と合わないんですよね……」
 「じゃあ、海外に行ってみたら?」

 彼女にとって、日本は狭すぎるのかもしれません。話していくうちに、彼女のキーワードとして「韓国」が上がってきました。興味のある国だったため、彼女のベクトルは一気にそちらに向きました。

 すると、彼女は突然、
 「それならいっそ、1000万円貯めて海外で生活します!」と宣言。
 そして、5年後に今の貯金額100万円を1000万円にする方法を教えてほしい、というではありませんか。
 この行動力、脱帽です。

 では、ここで決まった「韓国」「1000万円」をキーワードに、彼女のマネープランを考えることにしました。