「毎月2万円の貯蓄」の中身を変えてみよう

 まず、貯蓄の目標額を考えることにしました。そもそも美容師が自分のお店を出すために、一体いくらかかるのでしょうか? 全くゼロから店舗を作りたい場合は、1000万円かかるとのこと。しかし、もともとヘアサロンだった店舗を居抜きで借りるなら、だいたい500万円の資金でできるそうなので、梨沙さんは当面の目標額を500万円に定めました。

 500万円を目指すために、月2万円の貯金を維持するのはマストですが、その貯め方を変えてみると、今までより速いペースで貯めることができそうです。定期預金といっても、少額であれば年利0.2%でもよいほうで、ほとんど額面通りにしかなりません。そこでまずは、月1万円はつみたてNISAでバランス型の投資信託を購入することにしました。その後しばらく様子を見てから、残りの1万円も同様につみたてNISAで運用をすることを検討。つみたてNISAを利用すれば、節税にもつながります。

 また、彼女になにより必要なのはマネーに対する知識です。人に聞いて「よさそう」と思っても、知識があれば「どういう仕組みなのかな?」とリスクを考えることができます。いくらもうかるといわれても、その理屈が分からないまま手を付けるのはリスキー過ぎます。とはいえ、一人で本や資料でコツコツ勉強するのはあまり好きではない梨沙さん。そこで行ってみたのがマネーセミナーでした。マネーセミナーであれば、講師が目の前で説明してくれるので、すんなり理解でき、梨沙さんには向いていたよう。もちろんマネーセミナーの中には、金融機関のセールストークを行っているものも多いですが、「自分に理解できないものは手を出さない」と決めて臨みました。

 耳から入る知識は机上の勉強とは理解の進み方が違ったようで、基本的なマネー知識がなかった梨沙さんが、金融商品の仕組みを学んだり、お金のことを身近に感じられるようになったりしたのはプラスになったようです。

貯めるだけでなく、「収入を増やす」

 そして、梨沙さんの場合、そもそも収入が少ないことが貯金のネックになっていたのですが、これを「収入を増やす」というほうに目を向けるようにしてみました。

 美容師は指名料や、整髪料をお客様に売ったときにマージンが入るなど、ちょこちょこと給料に加算される収入があります。自分の腕を磨き、商品知識を高めてアイテムのアドバイスができるようになるのは、お客様に喜ばれるサービスにもつながります。ひいてはそれが自分の収入にも反映されるというわけですから、梨沙さんの仕事へのモチベーションもさらに上がりました。

 失敗は成功のもとです。梨沙さんは既に貯金癖ができているので、あとは上手に貯めて、収入を増やしていけば、どんどん夢に近づけます。結局、一獲千金より、コツコツが一番なのですよ。

今回の格言

今回の格言「コツコツ貯蓄が夢の近道」
今回の格言「コツコツ貯蓄が夢の近道」

聞き手・文/相馬留美 イラスト/北村みなみ