お金は「貯め方」だけでなく、「使い方」も重要なんです!

 8年足らずで1000万円が消えるなんて、あかりさんに一体何が起こったのでしょうか?

 1000万円は投資信託を購入したので、残りの2000万円は普通預金に置いておいたところ、なんとなく使っていたらどんどん減ってしまったそう。普通のOLだったあかりさんなのに、数年で1000万円も使い切れるものなの? と意外に思いますよね。聞いてみると、自由に使えるお金が手に入ったので、今までは特に欲しいと思わなかったのになんとなく宝石や高級バッグを買ってみたり、旅行でハイクラスのホテルにガンガン泊まってみたり、やってみたかったスキューバダイビングにもチャレンジしてみたり。それ自体は全く悪いことではないのです。ただ、お金を持っているため財布のひもが緩んでしまい、一つ一つの単価そのものが上がってしまったよう。例えば、スキューバダイビングのために海外旅行をチョイス。その額1回35万円なり。そうした浪費がたまりにたまって、1000万円に到達! というわけです。生活レベルって、一度上げると下げられないものなんです。ついこの間までは普通のOLの生活をしていたのに、お金を持って家計管理が緩くなってしまったのですね。

 でも、銀行で資産運用をしていたから大丈夫! ……と思っていたあかりさん。しかし、以前の私からのアドバイスはすべて反映せず、同じものを買ったままほったらかしになっていました(汗)。買い替える手続きが面倒臭かったそうですが、そのため、本来こまめにチェックするべき商品を確認もせずに持ったままになっていたことになります。

 確認してみると、資産運用を始めてから8年近くたっているのに、元金が全く増えていませんでした。リスクの高い商品でしたから、上がったり下がったりしつつ、プラスマイナスゼロになっていたようです。これでは、運用手数料を毎年コツコツ銀行に払っていただけですね。けっして相場が悪い時期ではなかったので、アドバイスを守ってくれていたら増えていたのになあ……とちょっと残念。

 1000万円が消えてしまい、それでも「まあどうにかなるか~」と思っていたあかりさん。持ち前の明るさで、悲壮感は全くありません。それなのに私のところにやってきたのは、なんとお父様が夢枕に立ってこう言ったから。

 「……お前、将来はどうするんだ?」

 お父様―! あの世からも心配で目が離せなかったのですねー!

 そう、お父様の言う通り、私から見ても「どうするんだ?」状態です。お金ばかりは、「なんとかなるさ」と思っていてもなんともなりません。

 家計診断をしてみたところ、独身で現在の生活レベルで暮らしていたら、虎の子の1000万円もあっという間になくなりますし、このままだと元々貯金して持っていた500万円も切り崩しかねない勢いです。後がない状態なんです!

 さて、ここからは自分の力で立て直さなくてはいけません。まず、持っていた投資信託は、あらためてインデックス型の投信に切り替え。今度は面倒臭がらずにきちんと買い替えていました。また、「給料はいつか上がるものと思っていました」とあかりさんはポツリ。そうなんです、今は給料は上がらないことも多いので、コツコツ貯めておくことが大切でしたね。

 「あぶく銭は身に付かない」と言いますが、その理由は、自分の力で稼いだお金でないものは、稼いだお金以上に「使い方」がとても難しいから。あなたは将来、どんな生活をしたいですか? そのためにお金がいくら必要ですか? そんなふうに、描いた未来に向かって、ポジティブに行動してみてください。

「宝くじが当たるといいな」ではなく、「この夢をかなえるために、この年までに宝くじの賞金くらい貯めるんだ!」と、発想を転換してみてください。

 今回で私の連載は終了ですが、皆さんにお伝えしたいのは、「これからの時代、お金の知識があるかないかで人生の充実度が大きく違う」ということ。 でも、「お金はあくまでも人生を豊かに生きるためのツール」なので、お金に振り回されず、人生を前向きに楽しんでくださいね!

<今回の学び>

今回の格言「お金は使えばなくなる。人生に残る使い方を!」
今回の格言「お金は使えばなくなる。人生に残る使い方を!」

聞き手・文/相馬留美 イラスト/北村みなみ