有休を取りやすい環境を整えて、家族や自分自身にじっくり向き合う時間をつくる取り組みや、社内の横軸のつながり強化など、社員の「ストレスオフ」をサポートする制度を続々と導入しているメディプラス。その狙いと成果、導入のポイントについて、同社代表取締役の恒吉明美さんに聞きました。

前編 社員30人で80億を売り上げる「ストレスオフ」組織って?

人は適度なストレスがあってこそ成長できる

――まず、社長が目指している「ストレスオフ組織」とはどういうものなのか教えてください。

 「ストレスオフ」というのは、よくいわれる「ストレスフリー」とは全く違う概念です。ストレスフリーはストレスの原因を取り除いて解放されるというイメージですが、ストレスオフが目指すのは「目の前にあるストレスを上手にマネジメントできる=自分の力でオフできる」というもの。

 最近は労務環境に関するさまざまな報道もあって、世の中全体が「働く人にストレスを与えてはいけない」という雰囲気になっている気がします。でも、人間は適度なストレスがあってこそ成長できるものと私は思っているんです。

 過保護に何でも与えて社員を守るのではなく、自分自身でストレスに負けない強さを身に付けるスキルを磨く機会を提供すること。社員のことを本当に思うのであればそうあるべきではないか、という考えから「ストレスオフ」という言葉を使っています。

メディプラス 代表取締役 恒吉明美さん

社員一人ひとりに同じビジョンを持ってほしい

――創業時から導入されていた考えなのでしょうか?

 いえ。むしろ創業期は軌道に乗せるために必死で、私自身も無理をしていたし、社員もほとんど家に帰らずに頑張っていた“ブラック”な時期もありました。売り上げは順調に伸びましたが、私が過労で倒れ、改善したはずの肌荒れも再発してしまって。これがきっかけとなり、「肌と心はつながっている」と気付きました。「スキンケア会社であるからこそ、働き方を変えよう。そして同時に、私がいつ倒れても持続可能な組織を本気でつくらなければ」と思い、挑戦が始まったのです。

 つまり、社員一人ひとりが同じ目線とビジョンを持って自発的に仕事に向き合い、自身の能力を高めながら、会社も成長していける組織づくりが重要なのだと実感したんですね。

 私の起業の原点は自分の肌が弱くて試行錯誤しながらオリジナル製品を開発したことでした。創業社長というのは事業に思い入れが深い分、なんでも自分が深く関わりたくなるものですし、組織における決定もトップダウンになりがちです。それは強さでもある半面、「経営者の代わりがいない」という弱さにもつながります。