社員のやる気を引き出す「改善提案制度」を導入し、昨年度の提案件数610件、採用実績100件以上という成果を出している通販化粧品のランクアップ。4年前にこの制度の導入を決めたことで、「会社が明るくなった」「好調な業績にもつながっている」という岩崎裕美子社長に、制度を導入した動機、導入の際のポイントについて聞きました。

残業ゼロでも社員に笑顔がなかった理由

――4年ほど前に改善提案制度を導入したそうですが、そもそも動機は何だったのでしょうか?

 JTB、ベンチャーの広告会社を経て、2005年にランクアップを創業して10年が経ちました。「ホットクレンジングゲル」などのヒット製品も生まれ、順調に売り上げは伸ばしていました。でも、ふと会社を見渡すと、とっても「暗かった」んです。今思えば、私自身は前職で営業の最前線で数字を上げていたこともあって、自分の仕事のスタイルに自信があり、それを部下にも押し付けていたのだと思います。いわゆる「ワンマン社長」の典型だったかもしれません。

ランクアップ 代表取締役 岩崎裕美子さん

 社外のクライアント会社に調査してもらうと、「社長には何を言っても否定されるだけ」「社長との距離が遠い」という社員の本音が聞こえてきました。残業ほぼゼロの制度は会社設立当初から導入していて「働きやすさ」は実現しているはずなのに、社員が笑顔じゃない。体調不良で休む社員が出たときはショックでしたね。

 何とかこの空気を変えなければ、と思い、社員の満足度が高いことで有名な未来工業を岐阜県まで訪ねてみました。お話を聞く中で、「採否に関わらず報酬を出す改善提案制度」をいいなと思い、さっそく導入することにしました。

――ランクアップでは、採否に関わらず提案1件500円、給与として支給するという仕組みで始められたとか。ずいぶん「太っ腹」に感じるのですが、なぜこのような仕組みにしたのでしょうか?

 社員が思いついた改善案を会社に提案するという制度というものは、決して珍しくないと思います。そのほとんどが「採用された案件のみ報酬あり」という仕組みではないでしょうか。でも、なかなか続かないとか、活用されないといった会社さんが多いですよね。

 続かない理由はなぜかというと、採否を決定するプロセスで担当者が忙しくなってしまうからです。報酬の有無を決めるからには正当な理由が必要となり、その判断にも時間を要してしまう。つまり、「採否関わらず報酬あり」という仕組みのほうが、提案する側のモチベーションも上がり、提案を受ける側の手間も省けるのです。

 1件500円という報酬は、私は高いとは思いません。社員の素直な声として挙がる提案は、会社をよりよくするためのアイデアの宝庫。私は社員からアイデアを買っているのです。